CO2を資源化する「カーボンリサイクル」、日本での実施状況と今後の展望(3/5 ページ)

» 2023年06月29日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

国際連携・GX資源外交の取り組み

 カーボンリサイクルの原料としてのCO2や水素の調達、またカーボンリサイクル技術や製品の市場の確保という観点で、国際連携を進めることは重要である。

 国は、「GXを見据えた資源外交の指針」案において、鉱物やCCS、新燃料(水素・アンモニア、カーボンリサイクル(CR)燃料、バイオ等)分野の主要国を、図5のように整理している。

図5.GX資源外交における主要な連携国 出典:資源・燃料分科会

 産油・産ガス国とは、エネルギー安定供給の確保の観点も踏まえつつ、またアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)等の国々とは、カーボンリサイクルを有望なソリューションの一つとして、協力関係の強化を目指すとしている。

 また、「カーボンリサイクル産学官国際会議」を通じて、各国がカーボンリサイクルの将来的な社会実装に向けた技術開発・実証に取り組む方向性を確認するとともに、各国間の協力関係の強化を進めている。

CCSに関する世界情勢

 カーボンマネジメントのもう一つの主要技術であるCCSは、脱炭素技術の中では、低コストの技術と位置付けられている。

 米国や欧州を中心に、国による支援を前提としつつ、すでに商用化段階に入っており、炭素貯留地を巡る「大競争時代」を迎えている。

図6.商用CCS施設の年間貯留容量 出典:資源・燃料分科会

 グローバルCCSインスティチュートによれば、世界で196件の大規模CCSプロジェクトがあり、現在稼働中のプロジェクト30件のうち7割がEOR(原油増進回収)であるが、開発中プロジェクト108件のうち約7割の貯留先候補は、帯水層又は枯渇油ガス田(つまり、純粋なCCS)となっている。

図7.CCSに関する世界情勢 出典:資源・燃料分科会

 米国のインフレ削減法(IRA)による支援など、世界的にCCSに関する法整備、政策支援が進んでおり、米国の10億トン、中国の23億トン、インドの7.5億トン、欧州の5億トンなど、非常に大規模な貯留目標が掲げられている。

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