資源エネルギー庁は、事業者がバイオマス燃料のライフサイクルGHG(温室効果ガス)を公開・報告する仕組みを提示した。一方、FIT/FIP制度の適用の前提となる一部バイオマス燃料の第三者認証の取得については、搾油工場の認証取得が進んでいないことなど、課題が顕在化している。
バイオマス発電は、家畜糞尿や木質残渣等を燃料とすることにより、天候に左右されず安定的に発電できるという特長を持つ。
2030年度エネルギーミックスにおいて、バイオマスの導入目標は8.0GW、発電電力量470億kWh(電源構成比5%)であるのに対して、2022年度末時点の導入量は6.9GWとなっている。
バイオマス発電に用いる燃料については、合法性・持続可能性の確保や、食料競合の回避、ライフサイクルGHGが十分に小さいことが重要であるため、資源エネルギー庁では、バイオマス持続可能性ワーキンググループ(WG)を設置し、第三者認証の在り方や、FIT/FIP認定要件の検討を進めてきた。
バイオマス発電の燃焼時点のCO2排出に関しては、カーボンニュートラルであると整理されているが、その輸送や加工において一定の温室効果ガス(GHG)を排出するため、ライフサイクル全体を通じたGHG排出量の確認が重要である。
このため、バイオマス持続可能性WGではこれまで、バイオマス燃料(原料)種の栽培工程や燃料精製工程、輸送工程等を踏まえた合理的な根拠に基づく算定ルールを策定したほか、ライフサイクルGHGを確認できる第三者認証スキームについても整理を進めてきた。
またGHG排出量の基準については、削減率の水準として、2030年以降に使用する燃料は比較対象電源のライフサイクルGHG(180g-CO2/MJ電力)の▲70%を達成することを前提に、2022年度以降のFIT/FIP認定案件に対し、制度開始後2030年までの間は燃料調達ごとに▲50%を求めることを、2023年4月に開始した。
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