FIT制度開始以降、PKSの輸入量と価格のいずれも上昇傾向にあった。経過措置の認証取得期限に間に合わない場合、日本国内のFIT/FIP発電所では当該PKSを燃料として使用することはできないが、世界的にバイオマス燃料の需要が拡大しているため、非認証PKSの輸出先は他国へと振り替えられると推測される。
WG事務局では、一定の前提条件(認証取得率30%)のもとで、認証未取得のPKS数量に相当する発電電力量を、44億kWhと試算している。これは日本の年間総発電電力量の0.43%に相当する。
ただし、PKSは木質チップや木質ペレット等と混焼利用することが一般的である。そのため、PKSの調達量が大きく減少する発電所では、代替燃料を調達できない限り、発電を継続すること自体が困難となる可能性もあり、喪失電力量は、これ以上に大きくなるおそれもある。
十分な量の認証PKSを調達できない発電事業者は、代替燃料を調達できる場合、以下のような事業計画の変更認定申請が必要となる。
変更認定申請に掛かる標準処理期間は4カ月であるため、該当する発電事業者は、速やかに代替燃料の確保と同時に、申請手続きが必要となる。(PKSの認証取得後に再度変更する場合も同様)
ただし、例えば国内未利用材はすでに多くの地域で需給がタイトになっていることなどから、代替燃料を調達することは必ずしも容易ではないと考えられる。また、玉突き状態的に、他の発電所の燃料調達(量と価格面)を悪化させることも懸念される。
FIT/FIP制度では、法令上、持続可能性が確認された燃料のみを使用することが求められていることを踏まえ、バイオマス持続可能性WGの第24回会合において委員の多くは、PKS及びパームトランクの経過措置の再延長は行わないという事務局案を支持した。
これと同時に、運用面での何らかの柔軟的措置を求める声も多く、事務局では、対処策を検討する予定としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.