バイオマス燃料のGHG情報の開示方法を整備へ、第三者認証の取得は一部で課題も法制度・規制(3/4 ページ)

» 2023年09月29日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

PKS及びパームトランクの経過措置

 FIT/FIPでは制度的支援の前提として、パーム油やPKS(パーム椰子殻)、パームトランクについては、第三者認証による「持続可能性」の確認が必要である。

 PKSとパームトランクについては、2020年度から第三者認証(当時はRSBのみ)による持続可能性の確認を開始したが、当初の経過措置として2022年3月末を確認の期限としていた。しかしながら、新型コロナ感染拡大による影響等を踏まえ、経過措置の期間を1年間延長したが、その後、経過措置の期間を再度1年間延長し、2024年3月末を確認の期限としていた。

 ところが、一般社団法人バイオマス発電事業者協会(BPA)によるアンケート結果から、原産国サプライヤーの認証取得は順調に推移している一方で、PKSの発生地点となる搾油工場(1,600件以上)における認証取得が進んでおらず、認証取得率は3割程度に留まることが明らかとなった。

表6.PKSの持続可能性に係る認証取得状況 出典:バイオマス持続可能性WG

 BPAによれば、発電所のPKS在庫が全て認証材に置き換わるまでの期間は4か月程度である。よってPKSの一般的な商流を踏まえて逆算すると、発電所での燃焼開始が2024年4月の場合、発電所での認証材入荷期限は2023年12月、トレーダー・ストックパイルからの出荷期限は2023年11月(輸出手続き:平均1カ月)、原産国トレーダーでは2023年7月(1回の輸出1〜2万トンのための集荷期間は3〜4カ月)となるため、最上流(PKSの発生地点)である搾油工場では、2023年7月以前に認証を取得しておく必要がある。

 つまり現実には、かなりの事業者が期限までに認証を取得できていないことが再確認された。

図2.PKSの一般的な商流 出典:バイオマス持続可能性WG

 最大のボトルネックとなっている搾油工場において認証取得が進まない理由としては、「1.仲介業者の存在」「2.搾油工場の認証取得意欲の低下」「3.MSPO(マレーシア持続可能なパーム油)監査の遅延」などが挙げられている。

 なお、EU-RED IIや英国RO制度では、PKSに係る持続可能性の確認は求めていないため、搾油工場等は無理して認証を取得せずとも、他国へPKSを容易に販売(輸出)することが可能である。

 すでに認証を取得した事業者も多数存在するものの、上記理由の1や2は、副産物としてのPKSが半ば構造的に抱える問題であるとも言え、短期的な解決が難しい可能性もある。

表7.搾油工場での認証取得が進まない理由として考えられる事項 出典:バイオマス持続可能性WG

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