説明会の実施にあたり、説明の責任主体を明確化する観点から、説明会には再エネ発電事業者自身の出席を求めることとした。
説明会においては、事業者から説明事項を一方的に説明するだけでなく、説明会の議事として、質疑応答の時間を設け、住民の質問や意見に対して誠実に回答することが求められる。
なお、WGの第2次取りまとめでは、説明会が形骸化することを避ける観点から、敢えて具体的な記述を避けている面もある。よって、ここでは質疑時間として確保すべき具体的な時間の長さは示されていない。
説明会の開催回数についても同様であり、一回の説明会に参加できる住民の上限や説明会の開催回数といった具体的基準を示すことはなく、住民からの質問等に適切に対応できるよう十分な回数の説明会を開催した上で、住民からの質問等に誠実に対応することが重要であることを確認している。
また、説明会後に事業者が一定期間(2週間)、質問募集フォーム等を設け、フォームに提出された住民の質問等へ書面で回答することや、必要に応じて再度説明会を開催するなどによる誠実な回答を求めている。
説明会を開催したことを証する資料として、説明会の議事録や配布資料、質問募集フォームにおける質問・回答、概要報告書等をFIT/FIP認定申請時に提出する必要がある。
また、事後検証できるよう、事業者は説明会を録画・録音し保管するほか、国は事業者から提出された概要報告書を公表し、住民が資源エネルギー庁に対して通報を行うことができる通報フォームを整備する。
説明会等の対象となる「周辺地域の住民」の範囲については、「事業場所」の敷地境界から「一定距離」の居住者と、再エネ発電設備の設置場所に隣接する土地/建物の所有者を対象とした。
「事業場所」とは、発電設備だけでなく、遮断機などの電気設備や、水力発電における取水設備・水圧管路などの設備、バイオマス発電の燃料置場の場所も含まれる。
また「一定距離」については、自治体条例の定量基準等を参考として、低圧の電源では100m、特別高圧・高圧では300m、環境アセス(法アセス)の対象電源は1km、とした。
説明会等の開催にあたっては、地域の実情を把握する市町村への事前相談を行うことを求め、市町村から意見があった場合にはその意見を尊重して、当該者を「周辺地域の住民」の範囲に加えることとする。
再エネ特措法では、発電設備の設置場所や規模を確定させた上で、FIT/FIP認定を申請するというフローが基本であり、説明会における住民からの質問等を踏まえて、事業者が対応を検討するための十分な期間を確保することも必要となる。
このため、説明会は原則として、FIT/FIP認定申請の一定期間前(3ヶ月前)までに実施することを求める。また、その開催案内は開催2週間前までに、ポスティング等により行うことを求める。
他方、森林法における林地開発など、周辺地域に影響を及ぼす可能性が高い場合には、事業の初期段階から、複数のタイミングでの説明会開催が求められる。図4の例の場合、説明会は少なくとも2回開催することとなる。
なお、認定後に事業譲渡や実質的支配者の変更等が生じた場合は、変更認定申請時に改めて説明会の開催が求められる。
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