FIT/FIPの認定要件となる「説明会」と、違反時の交付金停止措置の方針が明らかに2024年4月に改正再エネ特措法が施行(1/5 ページ)

2024年4月から施行される改正再エネ特措法。施行に向けて、このほどFIT/FIP認定要件となった事前周知や説明会の具体的なルール、また関係法令に違反した場合にFIT/FIP交付金を一時停止する措置等の詳細設計案が公開された。

» 2023年10月05日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 2050年カーボンニュートラルを実現するためには、国民負担の抑制と地域共生を図りながら、再エネの最大限の導入を促進することが不可欠である。

 FIT制度開始後、太陽光発電を中心に再エネ導入量は大きく増加したが、安全面や防災面、景観や環境への影響、将来の廃棄等に対する地域の懸念が高まっている。

 こうした懸念の解消に向けて、資源エネルギー庁は「再生可能エネルギー長期電源化・地域共生ワーキンググループ(WG)」において検討を行い、その第1次取りまとめを基に、再エネ特措法が改正された。

 WGでは、改正再エネ特措法の施行(2024年4月)に向けて、説明会の開催など周辺地域への事前周知のFIT/FIP認定要件化や、関係法令に違反した場合にFIT/FIP交付金を一時停止する措置等の詳細設計について検討を行い、今般、WGの第2次取りまとめ案が公表された。

関係許認可取得に係る認定手続の厳格化

 本WGの第1次取りまとめにおいては、周辺地域の安全性に特に強く関わり、かつ、一度許認可対象の行為が行われた場合は原状回復が著しく困難である1〜3の土地開発に関わる許認可については、FIT/FIP認定手続を厳格化し、認定の申請要件とした。

  1. 森林法における林地開発許可
  2. 宅地造成及び特定盛土等規制法の許可
  3. 砂防三法(砂防法・地すべり等防止法・急傾斜地法)における許可

 本件は安全性に強く関わる内容であるため、改正法施行(2024年4月)を待つことなく、すでに2023 年9月に改正省令が公布されており、今年10月より施行された。

図1.再エネ発電設備の設置と土地造成の安全性確保に関する法令 出典:再エネ長期電源化・地域共生WG

説明会等のFIT/FIP認定要件化

 再エネ電源の導入にあたっては、住民との適切なコミュニケーションを図ることが重要である。このため、WG第1次取りまとめを踏まえ、再エネ特措法を改正し、説明会開催を含む周辺地域への事前周知を行うことが、FIT/FIP認定要件の一つとされた。本件は、改正法施行(2024年4月)と合わせて施行される予定である。

 FIT/FIP認定申請前に説明会等を求める趣旨・目的は、再エネ発電事業の実施に当たり、事業者が周辺地域の住民への適切な情報提供を行い、再エネ発電事業の実施により生じ得る周辺地域への影響に関する地域の懸念に対応することで、再エネ発電事業に対する理解を促進し、その信頼を醸成して、地域と共生した再エネの導入を図るところにある。

 WGでは、説明会等の要件の具体化を検討し、第2次取りまとめにおいて、その制度詳細が示された。なお、WGにおいて整理された説明会等の認定要件は、あくまで基本的事項であり、地域の実情等を踏まえ、追加的な説明や柔軟な対応を行うことも重要である。

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