調達価格等算定委員会の第87回会合で、国内の各再エネ電源の導入量やコストの状況に関するデータが公開された。併せて各電源ごとのFIT/FIP制度設計・運用における検討事項や論点が整理されている。
2012年7月のFIT制度開始により、再エネ電源の導入量は大幅に増加し、2021年度の再エネの発電電力量は2,093億kWhとなり、その電源構成比は20.3%に拡大した。2030年度のエネルギーミックスにおいては、再エネ比率目標を36〜38%としており、この実現に向けて、さらなる再エネの導入拡大を図る必要がある。
調達価格等算定委員会の第87回会合では、現在の再エネ導入状況を踏まえ、今年度の同委員会における論点が示された。
2023年3月末時点におけるFIT・FIP認定容量は9,941万kWであり、FIT制度開始後に新たに運転を開始した設備は7,360万kWとなった。FIT・FIP認定容量全体のうち、運転開始済の割合は約74%であるが、事業用太陽光(非住宅)を見ると、運転開始済みの割合は約87%と相対的に高い比率となっている。
2022年3月末時点の事業用太陽光の運転開始率は約76%であったが、400万kW程度の未稼働案件が認定失効したことにより、運転開始率が11ポイント程度上昇する結果となった。
認定量全体のうち、FIP制度による認定量は全電源種の合計で134件・約984MW(2023年6月1日時点)であり、累計認定量に占める割合はまだ1%程度に留まる。
FIT・FIP制度に伴う2023年度の買取総額(予測)は約4.7兆円に上るが、回避可能費用等が約3.6兆円と見込まれるため、再エネ賦課金総額は約1.1兆円、賦課金単価は1.4円/kWhとなっている。買取総額の内訳を見ると、事業用太陽光発電に係る買取費用が7割弱を占めている。
太陽光発電(住宅・非住宅)の導入容量(2023年3月末時点)は7,070万kWであり、これは世界で第3位の規模であり、国土面積あたりの導入容量は世界1位である。設備容量別に見ると、10kW〜50kWの小規模事業用案件が多く、事業用太陽光発電のFIT・FIP導入量全体に占める割合は、容量ベースで約26%となっている。
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