日本版「同時市場」導入に向けた重要論点、「調整力」の定義を見直しへ法制度・規制(3/4 ページ)

» 2023年10月16日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

電源脱落・緊急時に対応する調整力

 電源脱落等の緊急時に対応する専用の調整力というものがあるわけではなく、電源脱落時には、まず周波数を検出して自動的に応動するGF(一次)や、送配電事業者(中央給電指令所)からの指令に追従して応動するLFC(二次①)を用いて、電源脱落直後、瞬時に周波数の回復を図る。その後、より継続時間の長いEDC(三次①)に受け渡すことにより、継続的な周波数維持を図ることとなる。

 よって電源脱落対応量は、一次・二次①・三次①でそれぞれ同量を確保することになっている。

 電源脱落に対応する量については、各エリアで分担することができるため、50Hz及び60Hzごとの同一周波数連系系統の単機最大ユニット容量を、同一周波数連系系統の各エリアの系統容量をもとに按分した量としている。

図4.電源脱落時の調整力応動・受け渡しイメージ 出典:調整力作業会

 電源脱落は、随時SCUCを行うとしても突然発生するものであるため、同時市場の開始後も、現行と同様に必要であると考えられる。

 また日本の電源特性を踏まえ、電源の起動が間に合わないことに対応するため、GC以前の予測誤差に対応する「予備力」三次①の確保も一定程度、必要と考えられる。

 この電源脱落および先述の予測誤差に対応する「予備力」を、調整力と同じ区分で扱うか、新たな商品区分を設けるかについては、今後の検討課題とされている。

図5.同時市場 調整力・予備力確保イメージ 出典:調整力作業会

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