調整力や供給力のより効率的な調達を目的に、導入が検討されている「同時市場」。導入に向けた検討事項として、調整力の定義見直しなどに関する議論が進んでいる。その概要をまとめた。
将来の電力市場の姿として、供給力(kWh)と調整力(ΔkW)を同時に約定させる「同時市場」の検討が、国の「同時市場の在り方等に関する検討会」において進められている。
前日断面(前日同時市場)で供給力と調整力を同時約定させることは一定のコンセンサスが得られているものの、時間前市場については、市場設計および調整力確保タイミングとして2つの案が提示されており、このうち、図1のイメージ②については、調整力の定義見直し等に関する技術的検討が必要とされている。
同時市場における調整力の区分・必要量については、数値検証等も踏まえた技術的な検討が必要であるため、これを電力広域的運営推進機関にタスクアウトすることとし、広域機関の「調整力の細分化及び広域調達の技術的検討に関する作業会」(以下、調整力作業会)において、これを検討することとされた。
調整力作業会では、まずは現行の需給調整市場における要件や算定式の振り返りを行い、今後の同時市場における調整力に関する論点を整理している。
現行の計画値同時同量制において、ゲートクローズ(GC:実需給の1時間前)までは、小売電気事業者(バランシンググループ:BG)は自身の需要予測(30分コマの需要計画)に一致させるよう、必要な供給力を確保することが求められている。
他方、GCから実需給までは時間差があるため、一定程度は予測誤差が生じるほか、1コマ30分内でも実需要は常に変動している。そこで一般送配電事業者は、このようなGC以降の予測誤差・時間内変動に対応するため、事前に調整力(ΔkW)を需給調整市場から調達している。
現行の需給調整市場では、5種類の商品区分・要件に沿った調整力が存在する。
これらの調整力商品は、それぞれが対応する周期成分の違いや、「平常時」対応であるか、電源脱落時等の「緊急時」対応であるかにより、区分することが可能である。
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