日本独自の制度であるFIT特例①、③では、一般送配電事業者が前日にFIT再エネ出力を予測して買取義務者(FIT特例①:小売電気事業者、FIT特例③:一般送配電事業者)に配分し、それをそのまま発電計画値としている。
このFIT発電計画値は、実需給まで計画の見直しを行わないため、前日の再エネ配分値とGC時点の再エネ予測値の差分を、三次②調整力として調達している。
通常の「調整力」(一次、二次①、二次②、三次①)が「GC以降」の予測誤差および時間内変動に対応する商品であるのに対して、三次②だけは、「GC以前」に発生する誤差に対応する特殊な商品であり、日本特有の調整力と言える(GC以降の再エネ予測誤差は、通常どおり、二次②・三次①で対応)。
FIT特例予測誤差に対応する調整力については、今後、随時SCUCを行い、GCまでTSOの再エネ予測に合わせ続けることが可能になると、現在の三次②のような調整力は必要なくなると考えられる。
他方、再エネの出力予測は大きな予測外しが起こり得るなど、需要予測以上に難しい面があり、起動時間が長い日本の電源特性を踏まえると、SCUCのみで対応できるわけではないと考えられる。このため、GC以前の予測誤差の対応については、予備力として確保することも考えられる。
現行の需給調整市場においては、調整力が対応する事象を特定し、各々の事象の過去実績のデータ等を用いて、エリア単位での必要量を算出している。
また先述のとおり、一次〜三次①の調整力は、対応する断面が同一(GC以降の誤差)であることから、不等時性を考慮して複合約定(一次〜三次①の複合商品)することにより、必要量を低減する仕組みを導入している。
これは、調整力確保コストを最小化するというメリットがある反面、その計算の複雑性から、計算時間が長時間化するデメリットも明らかとなっている。このため、同時最適化ロジックと共存可能な、簡易的な複合約定ロジックなどについて、今後、検討を深める予定としている。
なお、複合約定の対象とならない三次②については、複数エリアをまとめた(中西5エリアと東2エリア)共同調達を実施している。この必要量はエリア単位の再エネ予測誤差を合算(不等時性を考慮)して求めており、実質的には複数エリアをまとめた調整力必要量となっている。
同時市場の導入後、三次②はGC以前の「予備力」必要量として再整理されることとなるが、他の調整力商品では、その必要量の算定において、概ね現行同様の算定式となると考えられる。
他方、地域間連系線や地内系統の系統混雑への対応を踏まえ、広域的な調整力の必要量の算定について、今後検討を深める予定としている。
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