再エネ導入で変わる電力系統運用、将来必要な「調整力」の試算結果と今後の課題エネルギー管理(2/5 ページ)

» 2023年10月27日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

「供給計画」による調整力・火力電源の動向

 すべての電気事業者は電気事業法に基づき、今後10年間の発電所開発計画や需給見通しを「供給計画」として、毎年、国に届け出る義務があり、広域機関がこれを取りまとめている。

 現在の主な調整力リソースとなる火力電源は、新増設は2025年度頃まで増加するものの、それ以降の増加は無く、休廃止が増加するに伴い、火力の設備量は次第に減少していくことが読み取れる。

 以下の図3は、運転開始から45年経過した電源を廃止と仮定して描いたものである。

図3.火力供給力の増減見通し 出典:電力・ガス基本政策小委員会

 また供給計画では、エリアの供給力のうち、供給予備力の内数として、一般送配電事業者による調整力確保量(電源Iで確保したもの)を記載するほか、「調整力の確保に関する計画」では、調整力として活用を予定している電源等(電源I・I’・II)の内訳(ユニットごとの確保量)、種類、スペック等を記載している。

図4.「供給計画」と「調整力の確保に関する計画」 出典:調整力及び需給バランス評価等に関する委員会」

 2023年度の「調整力の確保に関する計画」によれば、エリア別の電源Iおよび電源IIにおけるGF・LFCの設備量、出力変動は図5のとおりであり、現時点、設備量としては十分に確保できていると判断される。

 他方、設備量として存在したとしても、発電機が解列している状態では調整力として活用できないため、実運用における確保量については、並列状態も考慮したうえで確認する必要がある。

図5.エリア別のGF・LFC容量および出力変動幅(2023年度) 出典:調整力及び需給バランス評価等に関する委員会

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