2024年度から供給力の受け渡しが開始される容量市場では、その目的の一つとして、再エネ導入拡大時における調整力の確保に寄与すること、が位置付けられている。
このため容量市場では、オークション約定電源について調整機能(需給調整市場の商品要件を満たす機能)の有無を確認しており、調整機能ありの電源は一般送配電事業者と「余力活用契約」の締結が求められており、調整力としての活用が期待されている。
ただし、容量市場メインオークションにおける調整機能あり電源の約定容量は、減少傾向である。
また、容量市場の参加登録で求められる情報は「調整機能の有無」だけであるため、GF・LFC・EDCといった調整機能の具体的な内訳までは情報提供されておらず、GF・LFC・EDCそれぞれの必要量に対して、容量市場の約定電源で充足しているか等は確認できていない。
いわゆるグリッドコードの一つに、一般送配電事業者が定める「系統連系技術要件(託送供給等約款別冊)」があり、系統に接続する電源は、これを順守する必要がある。
グリッドコード(系統連系技術要件)における調整機能に関する要件は、「発電設備の制御応答性」として定められており、エリアにより多少異なるものの、特別高圧の火力発電(100MW以上)を対象電源とし、GF・LFC・EDC機能の具備を要件としている。
調整力の提供(販売)を目的として事業者判断により主体的に参加する需給調整市場と異なり、グリッドコードは系統に接続する(一定の要件を満たす)すべての電源に適用されるものであるため、事業者への負担を考慮し、最小限の要件のみが規定されている。
例えば、需給調整市場では指令・制御を行うための通信回線(原則、専用線)の設置が求められているのに対して、グリッドコードでは制御回線の設置は規定されていないため、仮に電源に調整機能があったとしても、一般送配電事業者がその調整機能を活用することが出来ない。
なお、長期脱炭素電源オークションでは、グリッドコードで調整力の具備が求められる火力電源(100MW以上)に加えて、10MW以上の揚水発電・蓄電池に対しても、火力(100MW以上・GT及びGTCC)と同様の調整機能の具備を求めている。
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