再エネ導入で変わる電力系統運用、将来必要な「調整力」の試算結果と今後の課題エネルギー管理(1/5 ページ)

再エネなどの自然変動電源の導入拡大によって、電力系統の安定運用のための「調整力」の確保が重要になっている。広域的運営推進機関の「調整力及び需給バランス評価等に関する委員会」では、中長期的に必要な調整力量やその確保の見通しの試算結果が公表された。

» 2023年10月27日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 需給調整市場の開始により、一般送配電事業者は2024年度以降、すべての調整力を需給調整市場で調達することとなる。

 今後の自然変動電源の増加に伴い、調整力の必要量は増加する可能性があると同時に、現在の主な調整力リソースである火力電源の退出などにより、中長期的には調整力リソースの設備量が不足することも考えられる。

 調整力リソースの新設や設備量増加には、一定のリードタイムが必要であるため、広域的運営推進機関の「調整力及び需給バランス評価等に関する委員会」では、中長期的な調整力確保の在り方について検討を開始した。

 主な論点は、中長期に求められる調整力の機能、確保すべき調整力設備量、その確保方法等であり、調整力委員会の第91回会合では、中長期での調整力必要量・調整力設備量の充足に関する試算結果が報告された。

図1.中長期的な調整力の充足の確認 出典:調整力及び需給バランス評価等に関する委員会

中長期に確保すべき調整力の機能

 現行の需給調整市場では制御機能や応動時間等に応じて、一次調整力から三次調整力②までの5つ商品が設けられている。これら5つの商品を単純に機能のみで大きく区分すると、GF機能(ガバナフリー)、LFC機能(Load Frequency Control:負荷周波数制御)、EDC機能(Economic load Dispatching Control:経済負荷配分制御)の3つの機能に分類される。

 中長期的に確保する調整力の機能については、需給調整市場の商品区分と同様とする案、GF等の機能ごとに確保するという案の2つが考えられる。

 調整力機能については、調整力の確保方法や確保量の検討と密接に関係するため、委員会ではこれらの論点とセットで詳細を検討していく予定としている。

図2.機能による調整力の区分 出典:制度検討作業部会
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