「ペロブスカイト太陽電池」の開発動向、日本の投資戦略やコスト目標の見通しは?太陽光(4/4 ページ)

» 2023年12月13日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]
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政策誘導によるGX市場創造に向けて

 ペロブスカイト等の次世代型太陽電池のGX市場を創造するためには、補助金等による支援策のほかに、需要の創出に向けた政策誘導も必要となる。

 その一つが、次世代型太陽電池の「導入目標」の策定であり、2025年からの事業化を見据え、2020年代中頃に年間100MW規模、2020年代後半にはGW級の量産体制を構築することを前提に、今後具体的な数値を検討する。

 なお、温対法に基づく「政府実行計画」や地方公共団体実行計画制度を通じて、国や地方公共団体等の公共施設での率先導入を行うこととして、公共施設の導入目標は先行して検討する予定としている。

 またシリコン系太陽電池では、日本企業は市場シェアを落としたことを反省材料として、ペロブスカイトでは輸出による海外市場シェア獲得も目指し、欧米等とも連携した国際標準化、IEC規格等の策定を進める予定としている。

ペロブスカイト太陽電池の大規模な導入計画

 第一生命保険、中央日本土地建物、東京センチュリー、東京電力PG、東電不動産、東京電力HD等による「内幸町一丁目街区南地区第一種市街地再開発事業」では、世界初となる1MWを超える規模でのフィルム型ペロブスカイト太陽電池を、高層ビルの壁面へ導入する計画が公表された。

図7.1MW超のフィルム型ペロブスカイト太陽電池導入計画 出典:東京電力HD

 今後もこの事例のように、電池メーカー単独ではなく、ユーザーと連携して開発・実証が進められることが期待される。

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