需給調整市場の全商品が取引開始も、一・二次調整力は大幅な調達不足に第46回「需給調整市場検討小委員会」(2/4 ページ)

» 2024年04月04日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

応札不足に関する調整力提供者へのヒアリング

 需給調整市場ですでに取り引きが開始されていた三次調整力①や②では、恒常的な応札不足・調達不足が発生していたことから、広域機関では調整力提供者に対してアンケートやヒアリングを実施し、その改善策としてブロック時間の短縮や取引スケジュールの変更(週間商品の前日取引化)等の制度変更を行う予定としている。

 4月から取引が開始される一次・二次①・二次②についても、同様の応札不足が懸念されたため、広域機関は資源エネルギー庁と連携し、2〜3月にかけて一部の調整力提供者(12社)に対して、需給調整市場への応札準備状況等についてヒアリングを実施した。このヒアリングの結果、事業者からは、応札不足につながり得る意見が複数寄せられた。

 なお、調整力の調達不足に関しては、電力・ガス取引監視等委員会(監視等委)においてもその対策が検討されてきたが、今回のヒアリングに監視等委は関与しておらず、今回得られた事業者意見は、十分に検証されたものとは限らないことに留意が必要である。

一次・二次①の並列必須要件

 需給調整市場における商品要件として、一次・二次①については時間内変動に対応するため、電源をあらかじめ並列しておくことを必須としている。

 火力電源であれば、燃料供給が続く限り、並列を維持することはそれほど難しくないが、揚水発電所では、発電の原資となる上池容量に限りがあり、最低出力が50%程度と高いため、一定の長時間(複数のブロック)への応札は難しいとの意見が寄せられている。

 また、揚水発電所を経済的に運用するためには、電力市場価格が安い断面でポンプアップし、市場価格が高い断面で発電すべきであるが、1週間先の電力価格は分からないため、経済性の観点から、揚水発電が週間商品である一次・二次①に応札することは困難であると指摘されている。

図6.揚水発電所のポンプアップ/発電の経済性判断 出典:需給調整市場検討小委員会

 東京エリアの電源Iの大半は揚水発電であることが報告されており、これが先述の図2のように、東京エリアでは一次や二次①の応札量がゼロであることの一因であると推察される。なお2026年度には、週間商品(一次や二次②)の取引タイミングを前日に変更することを予定しており、これにより、揚水発電の応札不足は一定程度軽減すると期待される。

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