応札ブロックのうち一部のブロックのみが約定(歯抜け約定)すると、調整力提供者は、起動費を回収し損ねることとなる。このような費用回収漏れリスク低減のため、需給調整市場ガイドラインの価格規律においては、起動費等の計上は1回起動であってもΔkW単価に2回計上することが認められている(ただし、使用しなかった起動費は適切に返還する)。
他方、調整力提供者の観点では、本来はより多くのブロックで応札可能な場合であっても、起動費回収漏れリスクをゼロとするためには、2ブロックに限定した応札とすることや、追加起動を伴うΔkW応札は行わないことが合理的となる。このような応札者の考え方が、応札不足の一因となっていると考えられる。
発電事業者と小売電気事業者間で電源の相対契約を締結する際、「通告変更権」を定めるケースがある。通告変更権とは、小売電気事業者が発電事業者に通告することで受給する電力量を柔軟に変更できる権利のことであり、通告を受けた発電事業者は、通告に応じて供給量を増減させる義務を負う。
通告変更権の行使期限は事業者によって異なるが、行使期限が前日である場合、その前日時点まで当該電源の「余力」は確定しないこととなる。このため、相対契約(通告変更権)を有する電源は、通告変更権の行使に備え、需給調整市場の週間商品(一次〜三次①)には応札できないとの意見が寄せられた。
なお先述のとおり、2026年度には週間商品の前日取引化を予定しているため、通告変更権を理由とした応札控えは解消すると期待される。
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