容量市場の開始以降で初、2024年度に追加オークション(25年度需給分)を開催へ第54回「容量市場の在り方等に関する検討会」(2/4 ページ)

» 2024年04月05日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

供給信頼度評価の見直しを反映

 メイン・追加オークションいずれにおいても、オークションの目標調達量を算定するためには、供給信頼度評価を定義する必要がある。

 従来から容量市場では、確率論的に算定されるEUE(ある期間における停電量の期待値)の考え方に基づき、「偶発的需給変動対応」に「厳気象対応」及び「稀頻度リスク対応」を考慮した予備率のもとで算出された年間EUEを供給信頼度基準(従来の値はEUE:0.044kWh/kW・年)と定義し、これに基づきオークション約定処理を実施してきた。

 しかし近年、電力の需給逼迫等が続いたことから、適切な供給力を確保するため、供給信頼度評価の算定諸元の見直しや精緻化が行われた。

表2.供給信頼度 算定諸元の見直し 出典:調整力及び需給バランス評価等委員会

 なお、偶発的需給変動対応の必要量は、各エリアのH3需要想定や電源ラインアップ、連系線の運用容量などの諸元から算定するものであり、これらの諸元は毎年変わるため、年度ごとに算定する必要がある。厳気象対応の必要量も従来は「夏季冬季:平年H3需要に対して2%」と固定していたが、本来は毎年変わり得るものであるため、算定年度ごとに最新データを用いて算定することとした。

 このように、容量市場で使用されるEUEは毎年数値が変更されるため、従来からの供給信頼度基準と区別するため、「容量市場における目標停電量(EUE)」と呼ぶこととなった。

目標調達量の算定状況

 以上の考え方に基づき、最新諸元を用いて算定した2024年度追加オークション(対象実需給年度:2025年度)における目標停電量は0.033kWh/kW・年となり、目標調達量は1億8,399万kWとなった。

 この新たな目標調達量は、2021年度メインオークション時点の目標調達量と比較すると、約700万kW(4.0%)の増加となっている。

表3.2024年度追加オークションの目標調達量算定結果 出典:容量市場の在り方等に関する検討会

 2021年度メインオークション(AX)と比較すると、需要想定や厳気象対応、計画停止に対応する追加設備量等、すべての設定項目において増加していることが分かる。

表4.2021年度メインオークションとの増減比較 出典:容量市場の在り方等に関する検討会

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