以上の検討より、現時点確保されている供給力18,418万kWは、目標調達量18,399万kWよりも19万kW多いことが確認された。これを追加オークションの需要曲線の原案に重ねたものが図4である。
2021年度メインオークション約定価格と確保されている供給力の交点(赤い星印)は、「需給状況を踏まえて追加オークション(全国)の開催要否を判断」する中央の白色背景範囲にあることが分かる。なお、ピンク色範囲であれば調達オークションを開催、水色範囲であれば、リリースオークションを開催することが原則である。
全国レベルで追加オークション(調達オークション)を開催しないと判断する場合、次のステップとして、エリア別追加オークションの開催要否判断が必要となる。
エリア別追加オークションの開催要否については、各エリアの年間の供給信頼度を基準として各月の供給信頼度や最新の供給計画の需給状況を総合的に勘案しながら、判断することとしている。
2025年度のエリア別EUEを見たものが表9であり、北海道・東京・九州エリアが年間目標停電量EUE(0.033)を超過しており、これらの3エリアで追加オークションの開催を判断し得る状況である。
他方、北陸・関西・中国・四国エリアは「調達価格ゼロの調達量における供給信頼度」(0.005)を下回っているが、他エリアの供給信頼度悪化を防ぐため、リリースオークションは行わない方針が示された。
なお、北海道・九州エリアでは2021年度メインオークションにおいても市場分断が発生しており、当該エリア内での供給力の追加は容易ではないと考えられる。
表9のように、全国レベルでも目標停電量を超過(0.084)していることから、供給力に比較的余裕のある中国エリア等の電源を費用効率的に活用する観点から、全国レベルの追加オークションを開催することも検討に値すると考えられる。
今後は資源エネルギー庁の制度検討作業部会において、2024年度追加オークション(対象実需給年度:2025年度)の開催判断が行われる予定である。スケジュールの都合上、すでに追加オークションの募集要綱や業務マニュアルは公表済みであり、参加登録や事業者向け説明会等も完了している。
追加オークションは今回初開催の見込みであるが、今後は追加オークション開催が常態となる可能性もある。メインオークションで不落となった電源等も、追加オークションでの供給力提供に向けて十分な備えが求められる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.