製品ライフサイクル全体のCO2排出量を記録・公開する「カーボンフットプリント(CFP)」。企業が実際に自社の製品やサービスを販売する際、CFPの情報をどのように表記すべきかを示す表示ガイドラインの検討が始まった。
製品・サービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るライフサイクル全体を通じた温室効果ガス(GHG)排出量を、「カーボンフットプリント(CFP)」と呼んでいる。
国の「地域脱炭素ロードマップ」(2021年発表)では、2030年までに製品等のライフサイクルGHG排出量の見える化に向けた環境を整備することが明記さた。さらに改正地球温暖化対策推進法(2024年6月施行)においては、ライフサイクル全体のGHG排出量が少ない製品等の製造及び情報提供が、事業者の努力義務とされている。
このような社会的要請を背景として、CFPの算定方法については、経済産業省・環境省が共同で「CFPガイドライン」や「CFP実践ガイド」を2023年に作成・公表してきた。
これにより、CFPの「算定」については次第に取り組みが広まりつつあるものの、CFPの「表示」については、現時点、分かりやすい指針となるものがなく、企業の個別判断に委ねられている。
そこで、企業の積極的なCFP表示や、CFPを通じた消費者とのコミュニケーションを促進することを目的として、環境省は新たに「カーボンフットプリントの表示等の在り方検討会」を設置し、「CFP表示ガイド(仮称)」の作成に向けた検討を開始した。
ボストンコンサルティンググループの調査によれば、「環境負荷の少ない商品を買いたい」と考える消費者は6割を超えるものの、実際に環境負荷の少ない商品を選ぶ消費者はその半分程度に留まっており、意欲と行動にギャップが生じている。また、その理由の上位には、「どの商品が環境負荷の少ない商品なのか、よくわからない」ことが挙げられている。
また図3のように、現時点、CFPという言葉の認知度は低く、認知度上昇の傾向もまだ見られない。環境省のCFPモデル事業に参加した企業からは、CFP表示によってブランドイメージが向上するなどの評価もある一方、消費者の多くはまだCFPを理解しておらず、CFPを見てもどう評価・判断すればよいか分からないとの消費者の声が報告されている。
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