日本の従来型地熱資源量は2,340万kW程度と推計されており、その多くが自然公園内に存在するが、制度上は「特別保護地区」を除くポテンシャルの7割(1,640万kW)が開発可能となっている。
地熱発電の開発のためには、事前の地熱資源量調査が不可欠であるが、自然公園法に基づく「特別地域」の調査は、民間企業では情報・アクセス・社会環境等の面からリスクが大きく、参入が困難であった。
このため、JOGMECは2020年度以降、全国で延べ82件(地表調査74件、掘削調査8件)の先導的資源量調査を行ってきたが、今後はJOGMEC自らが温泉法の許認可等を取得して噴気試験まで実施することにより、開発リスク・開発コストのさらなる低減を進め、早期の案件開発に繋げることとする。また掘削・噴気試験にあたっては、JOGMEC自らが市町村や都道府県、地元住民に対する説明会等を実施し、地元合意を目指す。
なお、JOGMECはこれまでも民間事業者が行う地表調査・坑井掘削調査に対して助成金の交付や債務保証を実施してきたが、地元合意や許認可取得に要する期間の長期化や、近年では掘削費用等の高騰により十分な調査ができない状況も発生している。このためJOGMECでは、2025年度から助成対象の拡大や補助率の強化を行うこととした。
これまで環境省では、地域協議会等を通じた合意形成支援などによる地域共生型の地熱開発を進めるため、各地方事務所に8名の「地熱発電等調整専門官」を配置してきた。
2025年度以降、経産省においても新たに「地熱開発官」を経済産業局に配置し、許認可手続きの支援や地元協議会への参加等を通じた地域理解の醸成等を進めることとした。
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