環境省は2021年4月に「地熱開発加速化プラン」を策定し、従来10年以上であった地熱発電開発リードタイムを2年程度短縮することや、全国の地熱発電施設数を当時の約60施設から、2030年までに倍増させることを目標としてきた。
地熱開発に必要となる温泉法に基づく掘削許可等は、都道府県知事の許可が必要である。このため、国から都道府県に対して、地熱開発の各段階における掘削等について許可/不許可の判断基準の考え方を示すものとして、環境省では「温泉資源の保護に関するガイドライン(地熱発電関係)」を改訂し(2021年9月施行)、都道府県による判断の迅速化を図ってきた。
これらの取り組みにより、2024年3月末時点で、全国の国立・国定公園内で100件の地熱発電が、調査・開発・操業の状態にある(操業は16件)。
今後、資源エネルギー庁では環境省や地方公共団体等と連携し、「地熱発電推進にかかる連絡会」において、地熱開発進捗に関するフォローアップを行う予定としている。
従来型地熱発電23.5GWの国内開発ポテンシャルに加え、次世代型地熱では77GW以上のポテンシャルが期待されており、国内外でさまざまなタイプの技術開発が進められている。
岩石を水圧で破砕することで地熱貯留層を人工造成し、水を圧入する「ESG(Enhanced Geothermal Systems)」は、天然の熱水が不要なため広範囲な地熱資源が活用可能となる長所がある。貯留層の造成にはシェール開発技術が転用可能であるが、水圧破砕による誘発地震の懸念が課題とされている。
同じく「クローズドループ」方式も天然の熱水が不要であるが、熱伝導による採熱量に物理的限界があるため、大規模化は困難と考えられている。
「超臨界地熱」は、大深度に賦存する高温高圧な超臨界流体を用いることや、発電規模が大きいことが特徴であるが、現時点日本では利用可能な超臨界流体の存在は未確認である。
「カーボンリサイクルCO2」は、「EGS」の発展形として、水の代わりに超臨界CO2を破砕流体として用いることにより、誘発地震リスクの低下、効率的な貯留層造成、発電効率の向上等を目指す技術であるが、まだ基礎研究の段階である。
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