家庭用蓄電システムを活用したDRのポテンシャルは、蓄電池容量(※停電用容量を控除)と、外部からの通信制御への対応率の掛け算により、試算可能である。
蓄電池容量を規模別に見ると、2024年度上半期には「6〜10kWh」が全体の約63%を占めており(台数ベース)、次第に大容量化が進んでいる。2024年度上半期の平均容量は9.32kWhである。なお、累計出荷容量717.9万kWhを累計出荷台数896,859台で割ると、単純平均値は8.0kWhとなる。
例えば容量8kWhの蓄電池において、ユーザーが20%の停電用容量を設定する場合、その蓄電池では6.4kWhのDRポテンシャルがあると考えられる。蓄電システム用パワコンの定格出力AC(kW)については、2020 年度以降の集計に限られるものの、累計出力は約344万kWと報告されている。
また、日本電機工業会(JEMA)会員企業のアンケート結果によると、出荷台数約90万台のうち、クラウド接続機能を有するものは約74万台、その中で実際に接続しているものは約47万台(約54%)と推計されている。
以上より、ごく簡易的に試算すると、8kWh×80%×47万台=約300万kWh程度の家庭用蓄電池を用いたDRポテンシャルがあると考えられる。
DRサービス事業者(DRサービサー)が行うDR制御は、「ゲートウェイ(GW)経由型」と「機器メーカーサーバー経由型」があり、GWと機器はECHONET Liteを用いて通信することが一般的であるのに対して、機器メーカーサーバは独自プロトコルによる通信を行う場合が多い。
ECHONET Lite(蓄電池クラス)では、電力(kW)指定、電力量(kWh)指定の充放電制御が可能であり、これを利用して上げ/下げDRが可能となる。ただし、ECHONET Liteのバージョンの違いにより、「運転モードの設定(充電・放電等)」は可能だが「充電・放電電力設定」は不可など、制御可能な内容は異なっている。
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