現行制度では、エリア内の系統制約は考慮せずにメリットオーダーによる約定を行っている。もし地内系統混雑が発生した場合には、再給電方式による電源の持ち替えを行い、混雑を解消している(エリア単位での部分最適)。今後、再エネ電源の増加に伴い、地内系統の混雑とそれを解消するための再給電費用も増加すると予想されている。
同時市場では、SCUC(Security Constrained Unit Commitment)及びSCED(Security Constrained Economic Dispatch)により、あらかじめ系統制約等を考慮した上で、電源の起動停止計画(UC)や最も経済的な出力配分(ED)を行うことが可能となる。
検討会では、SCUCの導入により広域的な混雑処理が可能となり、混雑処理費用(燃料費+CO2対策コスト)を年間959〜1,252億円低減可能と試算している。
変動性再エネ電源の大量導入により、発電量予測の変動は一層拡大すると想定される。このため時間前市場においても同時市場を導入することにより、各時点の出力予測の変化に応じた柔軟な電源ラインアップの組み替えを行い、より安定的かつ効率的な電源運用が可能となると考えられる。
時間前同時市場を導入した場合、TSO予測需要に基づく電源の追加起動が随時可能となるため、電源脱落に対応する調整力の一部と、前日市場からゲートクローズまでの残余需要予測誤差に対応する調整力の一部が確保不要となると考えられる。
これにより、調整力確保を目的として稼働する高単価な電源の稼働が不要となり、燃料費・CO2対策コストは年間602〜737億円低減すると試算されている(沖縄を除く9エリア合計)。
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