揚水発電や蓄電池(以下、揚水等)は、その蓄電能力を活用して電力の需要と供給をタイムシフトさせることにより、発電事業者自身の経済性を向上させることが可能である。
図5のように、X社(発電BG)が火力電源AとBをメリットオーダーに基づき稼働させる場合、揚水発電を保有していなければ燃料費は2,250円となるのに対して、揚水発電を活用すれば、ポンプアップ(揚水)によるエネルギーロス率30%を考慮しても燃料費を2,200円に節減可能である。
これは発電事業者X社個社だけに当てはまる話ではなく、系統全体で見たときにも当てはまる効果であるが、X社は他社の火力電源の状況や揚水発電の状況を把握できるわけではないので、完全に最適なタイミング・量で入札することは現実的ではない。系統全体での経済性の観点からは、電源の起動・出力を同時市場のSCUC・SCEDロジックに委ねることにより、最適化が図れると考えられる。
このため検討会では揚水等について、「1.自社による入札(BG運用)」のほか、「2.同時市場に運用を任せること」を任意に選択できることとした。同時市場による運用とは、2023年度以前の揚水TSO運用に近い方式となる。
なお通常、自社入札(BG運用)よりも同時市場運用のほうが最適解となるため、同時市場運用に委ねるほうが発電事業者の収益の期待値も高いと考えられる。
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