海草・海藻藻場における炭素貯留は、2020年より実施された農林水産省研究プロジェクトにおいて開発された方法論に従って評価を行っている。ブルーカーボンのうち、海草・海藻の藻場におけるCO2貯留のメカニズム及び現時点その貯留量の算定対象となるプロセスには以下の4つがある。
根から栄養を取らない海藻は、ちぎれてもすぐには枯れず海面を漂う「流れ藻」となり、特に葉に気泡があるホンダワラ類は遠く沖合まで漂流し、やがて海底に堆積し深海に炭素を貯留する。
なお、海草・海藻の本体は短期で生育・分解(CO2の吸収・放出)を繰り返すことから、陸上の草本と同様に、長期貯留に回らない有機物中炭素の吸収・排出量の計算は行わない。
海草・海藻藻場のブルーカーボン貯留量評価モデルは、農林水産技術会議プロジェクトによりまとめられた以下の方法論を適用する。藻場のCO2貯留量は,単位面積当たりの藻場が貯留するCO2量(吸収係数)を求め、人為活動によって増減させた藻場の面積(活動量)を乗じることで算定する。
「吸収係数」とは、大気から海中の海草・海藻に取り込まれたCO2量(隔離量)のうち、先述の4つの貯留プロセスを経て海底・海中に長期間貯留されるCO2量を表すものであり、海草・海藻によるCO2隔離量に貯留プロセスによって残存する割合(残存率)を乗じることで算定される。
「長期間」とは何年であるか、つまり「何年間貯留されれば炭素貯留とみなせるか」という基準は、現時点IPCCガイドラインで与えられていないが、「100年」が永続性基準として活用されることが多いことから、100年以上の貯留期間をもつ場合に炭素貯留とみなすこととした。
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