タブレットは消費者向けに設計されている。だが、企業が社員にタブレットを使わせることにしたら、HP Slateは先行できるかもしれない。iPadとは違って、Slateには企業でよく使われているWindowsが載っていて、企業で日常的に使われているシンプルなアプリケーションの多くも動かせる。企業にとっては互換性が重要だ。Slateにはそれがある。
機会があったら、YouTubeでHP Slateの最新のティーザービデオを見てみてほしい。面白いことに気付くはずだ。AppleのCMにも匹敵する30秒の動画をPCベンダーが流しているのだ。これはなかなかの芸当だ。Appleの成功に貢献している主な要素はマーケティングだ。CMを見た多数の消費者に感銘を与えている。SlateのマーケティングはiPadに引けを取らない。これはHPにとってプラスでしかない。
iPadの幾つかの機能が、「過去に焦点を当てるよりも先を見たい」というAppleの望みを明確に表していることは議論の余地がない。だがHP Slateも同じ望みを反映している。Slateはマルチタッチを備え、消費者がモバイル製品で本当にやりたいことに訴求している。おそらくもっと重要なのは、Slateが「体験」を提供しようとしていることだろう。今のところその点で成功しているのはAppleだけだ。
1月のCESで、Microsoftのスティーブ・バルマーCEOはSlateの機能の幾つかを披露した。その中には、電子書籍を読む機能もあった。AppleはiPadを、ハードカバーを持たずにお気に入りの本を読みたい消費者に電子書籍(Appleの場合、iBooks)を配信できるKindleキラーとして売り込んでいる。Slateユーザーも電子書籍を読むことができる。そしてiPadと同様に、音楽や動画の再生も可能だ。Slateはフルマルチメディアデバイスだ。消費者に気に入られるだろう。
iPadは周辺機器の接続にアクセサリの購入が必要だが、HP SlateにはUSBポートが付いているため、消費者も企業ユーザーも、USBメモリやプリンタなどのたいていの機器を簡単に接続できる。これは同製品の特に重要なアドバンテージの1つかもしれない。iPadはアクセサリ経由でほかの機器と接続できるが、Slateでは、基本的な作業を済ますのに追加機器を購入する必要がない。この点は面白いし、大きなセールスポイントになる。
Slateは2010年中に店頭に登場する。これは重要だ。もしもHPの参入が遅く、iPadにライバルがいない状態が丸1年続くことになっていたら、Appleは追いつけないほどのリードを得ていただろう。そうなったら、HPの製品は敗者のように見られ、Appleはそれを横目に第2世代iPadの準備に取り掛かっていたはずだ。だが、Slateは年内に登場するため、HPにはチャンスがある。HPはiPadの発売から数カ月後に、「幾つかの点でiPadに勝っている」とうたって独自製品を投入することができる。賢明なやり方だ。iPadにとっては厄介なことになるかもしれない。
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