料理の道具は、大きくは分けて2つ。何かを切る包丁と混ぜ合わせるボウル。情報料理人にもこうした道具が必要です。あなたは、自分だけのフレームワーク包丁や発想法ボウルを持ってますか?
マーケティングリサーチ、広告・販売促進のプランニング、CRMコンサルティングなどに活躍する松尾順氏(シャープマインド)。そんな松尾氏の信念は、膨大な情報があふれる今だからこそ、情報力はビジネスパーソンの必須能力であるというものです。連載を通じて、「情報力」を磨き、高めるノウハウをご紹介します。
※本記事は、INSIGHT NOW!において、2007年6月29日に掲載されたものです。松尾氏の最新記事はINSIGHT NOW!で読むことができます。
今回は、情報料理人の道具について。料理の道具は、大きくは以下の2つに分けられますね。
このたとえを用いて、情報を料理するための道具を考えると、
となります。
「各種フレームワーク」は、情報をいくつかの要素(カテゴリー)に切り分けて「食べやすい(分かりやすい)情報」にします。具体的には、すでに多くの皆さんがご存知だと思いますが、
といったものがありますね。
これらの道具は、「MBAなんとか」といった本でいくらでも手に入れることができます。ただ、入手は簡単でも、使いこなせるようになるには経験を積む必要がありますが。
さて、こうしたフレームワークでやっていることは、ひとことで言えば、情報の「分析」ですね。その目的は、前述したように、生のままでは大きすぎたり、複雑すぎる情報を細かく分けること。そうして情報を理解しやすくするのです。
しかし、情報を切り刻んだだけでは、何も生まれません。食べやすくはなったけれど、おいしくなったわけではない。おいしい料理を作るためには、情報を混ぜ合わせたり、味付けをしていく作業が必要。そのために、もう1つの道具である「各種発想法」を手に入れ、利用することになります。
オズボーンのチェックリスト | |
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転用 | 現在のままで、または改善して、新しい使い道はないか? |
応用 | ほかに似たものはないか? 何か真似はできないか? |
変更 | 意味や色、動き、音、匂い、様式、形を変えられないか? |
拡大 | より大きく、長く、高く、強く、時間を長く、頻度を増やす、付加価値はないか? |
縮小 | より小さく、短く、低く、弱く、時間を縮める、頻度を減らす、省略はできないか? |
代用 | ほかの人や物、材料、素材、場所を代えられないか? |
置換 | 要素、配置、順序、因果を入れ替えたら? |
逆転 | 前後、上下左右、順番、役割を反対にしたら? |
結合 | 目的、アイディアを組み合わせたら? 混ぜてみたら? |
具体的には、
などさまざま。ただ、情報を混ぜ合わせたり、味付けをするというのは、「情報と情報の間の意外な関係性を見つける」ところに妙があり、これは発想法ではなく、「編集法」と呼んだ方が、より適切だと思っています。
私の場合、情報を切り刻むためのフレームワークは、主に本や専門誌で学び、手に入れました。しかし、情報を混ぜ合わせたり、味付けする道具、すなわち発想法や編集法は独習だけでは難しく、使えるようにはなりませんでした。そこで料理学校ならぬ、「ISIS編集学校」に通ったというわけです。
ちなみにマッキンゼーを経て、現在ワトソンワイアットの社長を務めてらっしゃる淡輪敬三(たんなわ・けいぞう)氏は次のようなことをおっしゃっています。
マッキンゼー時代に学んだコンサルティングの本質は「分解と統合」である。
分解とは、要するに情報の分析であり、統合とは、情報を混ぜ合わせること――なのです。
「情報」を制するものがビジネスを制す! ビジネスで高い成果を出すためには、情報をいかに的確に収集、整理、分析、解釈するかにかかっています。膨大な情報があふれる今だからこそ、情報力はビジネスパーソンの必須能力。本セミナーでは、「情報力」を磨き、高めるノウハウを提供します。
※当日、参加者の方全員に講師松尾順氏監修本『先読みできる!情報力トレーニング』を進呈します。
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー。福岡県出身、早稲田大学商学部卒。ニールセン・ジャパン、CRC総合研究所で調査・コンサルティングに従事。その後、電通ワンダーマンにて各種リサーチ、マーケティング企画、CRMプロジェクトのプロデュースを手がける。2001年有限会社シャープマインドを設立し、現在はマーケティングリサーチ、広告・販売促進のプランニング、CRMコンサルティング等を主要業務とし活躍中する一方、セミナーや執筆活動も手掛けている。
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