ちゃっかり者のみっちゃんが気になる会社におじゃまする新連載「みっちゃんのちゃっかりオフィス見学」。第2回は「東京糸井重里事務所」のオフィスです。「ほぼ日手帳」制作チームのみなさんにお話を聞いてきました。部署や自分の業務範囲を制限しないで緩い関係が特徴。協力しあって仕事をする――そんな職場でした。
ちゃっかり者のみっちゃんが気になる会社のオフィスにちゃっかりおじゃまして、どんな会社だったかお伝えする新連載「みっちゃんのちゃっかりオフィス見学」。第2回は「東京糸井重里事務所」さんにちゃっかりおじゃまして、「ほぼ日手帳」制作チームのみなさんにお話を聞いてきました。部署や自分の業務範囲を制限しないで緩い関係が特徴。協力しあって仕事をする――そんな職場でした。
表参道駅の改札を出て歩くこと5分、一等地のとあるビルの4階に事務所はありました。受付にいらっしゃった石川篤史(いしかわ・あつし)さん、中林華恵(なかばやし・はなえ)さん、冨田裕乃(とみた・ひろの)さんは予想どおりみなさんカジュアルな服装。カジュアルなのは服装だけではなくて、「ワタシタチシゴトシテマス」という顔ではなく力が抜けていてとても自然体。案内してもらった会議室は白い壁に木のベンチがモダンなカフェのようで気持ちがゆったりします。
いただいた名刺を机の上に3枚並べてみると、なんだか違和感が。そう、部署も役職も記載がないんです。こちらでは「部署」とか「私は人事担当です」とか限定するような肩書きが付かず、全員が「ほぼ日刊イトイ新聞」の運営メンバーという考えで、「ほぼ日手帳」やオリジナルTシャツをかけもちしていたり、複数のプロジェクトに重複しているのが当たり前なんです。なので手帳制作のメンバーは、コアメンバー7名からピーク時には最大全社員44名までが“メンバー”となります。
かけもちしていると、チーム間で「うちの仕事をもっとやってほしい」などともめそうなものですが、お互い事情は分かっているので気を遣い合うことはあってももめたりはしないのだそう。「むしろかけもちしていることによってほかのチームの動きが分かったりして社内コラボができたり、メリットのほうが大きいのです」(中林さん)。前向きに捉えれば、手を挙げれば新しい事業から、経理や総務といったバックオフィスまでなんでもできる――というわけです。
部署や自分の業務範囲を制限しない組織になったのには、会社の生い立ちが関係しています。「10年前の立ち上げ当初は毎日サイトを更新するために、必要に迫られて編集の人も記事を書くだけでなく、HTMLを学んで更新作業をしていました。ただ最近は人数も増えたので、すべてをやらなくてはいけないというよりチームで補いあって仕事をしています。」(冨田さん)。そういった流れから編集の人でも記事を書くだけでなく、制作もするし、ネタ不足の時には経理の人でも原稿を書く、ということがごく自然なことになっていったのです。
「採用の基準はいっしょに働きたいかどうか」と冨田さん。前の仕事で培ったスキルよりも、今何ができるのか、これから何をやっていきたいのかを一緒に考えていくのがほぼ日流。「仕事は人につくもの」で、その人が入ってくることでできる仕事が増える、その人がいなければ生まれないプロジェクトがある――という考えです。中林さんが転職してきた際も、入社は決まったものの何をするのかはよく分からないまま入社したとか。
明るい職場で雑談も多いといいます。普段雑談ばかりで仕事が進まないみっちゃんとしては、生産性が下がらないだろうかとちょっぴり心配。でも冨田さんがこんな言葉を教えてくれました。「PCがあるからってPCと仕事ができるわけではなくて、仕事は人との対話の中で生まれるもの」。社長の糸井重里さんの言葉です。雑談、大いに結構――というわけですね。
この雑談の促進に役立つのが席替え。実は、全社員がくじ引きして決めています。担当別に席を分けると用事のある時しか話しかけなくなりますが、経理の人の隣にシステムの人が座っていたりすることで、分からないけどなんとなく会話に加わってみたり、さらに通りがかりの人も口をはさんでみたり、それを見て楽しそうだからとまた人が寄ってきたり。そうやってみんなで盛り上がることで、担当の人だけでは思いつかなかった解決法がみつかったり、楽しいアイデアが生まれたりしているんです。また毎月1回は、「意識的にPCから目を離しましょう」という時間を1時間設けて空を見たり白紙を前に打ち合わせしたりしています。
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