職場に「癒し系の相方」を探すストレスをためない技術

会社にはいろいろなタイプの人がいます。もともと会社は業績アップを目指しているので、自分の意見をはっきり言うタイプが目立ち、活躍しているように感じます。ですが、そのタイプとは少し違った人たちに助けられることはたくさんあります。

» 2014年02月05日 11時00分 公開
[松島直也,Business Media 誠]

集中連載『ストレスをためない技術』について

 本連載は、2012年2月16日に発売の松島直也著『ストレスをためない技術』(日本実業出版社)から一部抜粋、編集しています。

 ストレスは、決してなくならない。ストレスはできるだけ感じたくないものです。けれど、世の中からストレスは決してなくなりません。一歩外に出れば、さまざまなことがストレス要因となり、あなたを襲います。自分だけが「安全地帯」に逃げ込むことはできないのです。

 大事なのは「ストレスをなくすこと」ではなく、「どう付き合うか」を知ることです。本書では、NLP(神経言語プログラミング)の専門家である著者が、ストレスとの正しい付き合い方を紹介します。


 ストレスを感じにくくなる習慣とは、言い換えれば「ストレスをため込まない習慣」です。つまり、ストレスを感じたとき(自分ではストレスとさえ感じていないレベルのときでも)、「その思い」を上手に処理することが大事です。

 その際に効果的なのが、人に聴いてもらうこと。自分の話にただ耳を傾けてくれるというのは最上級の癒しになります。ここでのポイントは「耳を傾けてくれる」という部分。はっきり言って、アドバイスをくれる人は「癒し」には向きません。

 例えばあなたが何となく仕事が上手くいかなくて、ちょっとだけ気持ちが落ち込んでいるとします。そこで「最近、何となく仕事が上手くいかないんだよねえ」と話したとします。

 そのときに「そうなんだ。けっこう大変なんだね」とだけ言ってくれれば、「そうなんだよ。この間、こんなことがあってね……」と自然に、ストレスなく話すことができます。ですが、「何となく仕事が上手くいかないって、現実的にはどういう状況?」「今、具体的にどんな仕事をしているの?」「どこが原因で仕事が停滞しているか考えてみようよ」なんて言われたらどうでしょうか。

 正直言ってうんざりです。「あの、いえ、ちょっと……」と尻込みしたい気分になりませんか。もちろん相手は親身になってくれています。その人自身は明晰な考え方の持ち主で、きっと仕事もできるのでしょう。しかし、その種の人は「聴いてもらう相手」としては、ふさわしくありません。

 今のあなたは「話を聴いてもらう」ことが目的なのであって「具体的な解決策を見つけ出す」のが狙いではありません。ここを混同しないでください。そういう意味での「話を聴いてくれる相手」「癒し系の相方」があなたの職場にいるでしょうか。

 この相手は単に「仲がいい」のとは違います。仲がいい友達が癒し系の相方を兼ねることもありますが、活発で活動的な人との交流が多い場合、仲がいい友達に相談すると「的確なアドバイス」や「完璧なる正論」が返ってきて、かえって疲弊することがあります。

 ここではあくまでも「癒し系の相方」を探してください。個人的に誘える相手なら、時々話を聴いてもらう機会を作ったほうがいいでしょうし、休憩室や喫煙所などで偶然話す機会に恵まれたとき「ちょっと、今度相談に乗ってくれない」「話だけでも聴いてほしいんだけど」と言ってみるもの一案です。

 単なる仲良しではなく、癒し系の相方。そういう関係を築いておくのも、ストレスを感じにくくなる習慣の一つと言えます。話を聴いてくれる相手というのは本当に貴重です。

 私は営業マンとしてバリバリ働き、その後燃え尽き症候群になったときには、ほとんど誰とも話をしませんでした。「疲れたら家に帰って休めばいい」と思っていましたし、気分転換と言えば1人で街をぶらぶらするくらいでした。もしあのときに癒し系の相方がいて、話を聴いてもらえたら、結果はずいぶんと違っていたと思います。

 実はそういう人が私の周りにはいたのですが、聴いてもらうことの大切さを、当時の私は知らなかったのです。会社にはいろいろなタイプの人がいます。もともと会社は業績アップを目指しているので、自分の意見をはっきり言うタイプが目立ち、活躍しているように感じます。ですが、そのタイプとは少し違った人たちに助けられることはたくさんあります。

 打算的に人間関係を見直すというのではなく、自分がよい状態で働いたり、生活したりするために、必要な相手と、必要な交流を持つことを意識することも大切です。その相手は、異性でも、同性でも、同年代でも、年上でも、年下でも構いません。「癒し系の相方」がいる。話を聴いてくれる相手がいるというのは、本当に安らげるものです。

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