つらい禁欲期を乗り切る3つの対策「やめる」習慣(2/2 ページ)

» 2014年02月26日 11時00分 公開
[古川武士Business Media 誠]
前のページへ 1|2       

対策1 誘惑を絶つ環境を作る

 挫折を防ぐには、欲望がピークに達しないよう注意すること、誘惑の要因と出合わないようにすることが重要です。

 例えば、ダイエット中、空腹感がピークに達した段階でスーパーに入ってしまうと、揚げ物や甘いものに「今日ぐらいはいいか」と手が伸びてしまいます。禁欲期に我慢できる人はなかなかいません。他にも禁煙中にヘビースモーカーの友人と飲んでいると、お酒の力で自己制御できなくなり、「1本、もらおうかな」となってしまいます。

 そこで、誘惑となるものを断つため次の2つのポイントで環境作りをしましょう。

1. あらゆる誘惑を想定する

 食べ過ぎ、飲み過ぎ、夜更かしなどをやめようとしているとき、いずれも甘い誘惑があるはずです。どんなものがあるか、想定してみてください。

 食べ過ぎであれば、空腹時、コンビニに寄ってついついお菓子に手が伸びる。飲み過ぎであれば、友人からの飲み会の誘いを断われない。夜更かしであれば、テレビの深夜番組を我慢できず見続けてしまうなどが考えられるでしょう。

2. それらの誘惑を減らす、なくす

 禁欲期は極端なぐらいに誘惑の要因を避ける努力をしましょう。3週間を超えれば一気に欲望は落ち着き、理性でコントロールしやすくなります。それまでの我慢です。

 だからこそ、飲み会は3週間はすべて断るとか、コンビニには立ち寄らない、ネットサーフィンであればネットの線を抜く、節約なら1日2000円しか財布に入れないなどの環境を作ることが有効な対策なのです。

対策2 行動を見える化する

Photo

 レコーディング・ダイエットが大ブームになりました。この方法で、ダイエットに成功した人はたくさんいます。

 実は、「レコーティング(記録)」はどんな習慣にも全般的に有効です。飲み過ぎやイライラ、先延ばしにおいても効果的です。

 なぜ記録が重要かというと、行動を「見える化」することで、コントロールできるからです。記録によって、自己コントロールしようという意欲が自然と湧いてくるのです。

 ほとんどの習慣行動は、無意識的に繰り返されているので、コントロールできません。しかし、数値や言語によって見える化することで強く意識されるので、管理できるようになります。これがモチベーションになっていきます。

 例えば、運動でも同じで、毎日走った距離をスマホに記録している人はモチベーションが湧いてきます。走れていない日々が続くと嫌な気持ちになり、動きたくなるのです。

 歩くにしても、万歩計を持ち歩いていて、今日は歩数が足りないとなれば、一駅でも歩いて行こうと意識します。これは夜更かしでも同じことで、寝る時間をずっと記録していると、自己管理意識が飛躍的に高まるのです。

 行動を見える化することで、自己管理意識に火が付く、これが「見える化の魔法」です。

 特に「やめる習慣」では、欲望との戦いは、自己管理意識が大きな力になります。だからこそ、必ず見える化してください。習慣行動によって、83ページに挙げたような記録項目があるでしょう。

 また記録する際は、次の2つの方法でなるべく数値化・グラフ化できるといいでしょう。

1. アナログ式で記録する

 手帳や記録表など紙に記録することです。いつも使っている手帳に○×をつけるなど、毎日見るものがあれば、そこに記録をすると面倒ではなくなります。

2. デジタルで記録する

 今はスマホ時代です。毎日どころか5分に一度は見ているという人も多いでしょう。そんなスマホには記録目的のアプリも多く、データが簡単に集計できたり、グラフ化できるのが最大のメリットです。また万歩計やジョギング、睡眠など、最近のスマホアプリは自動的に記録する機能を持つものもあります。やめたい習慣ごとにお勧めのアプリは変わるので、ご自分に合ったアプリを探してみてください。

見える化のための記録項目
やめたい習慣 記録項目
先延ばし 処理した仕事数、かかった時間
ネット・スマホ 使用時間
ムダ遣い 使用金額、貯金額
ダラダラ生活 1日の行動記録
夜更かし 何時に寝たか、その前に何をやったか
食べ過ぎ カロリー、食べたもの
飲み過ぎ 飲んだ量
イライラ イライラした回数、イライラした出来事
クヨクヨ クヨクヨした回数、クヨクヨした出来事
完璧主義 仕事の完成度とかかった時間

対策3 投げやりに上限を作る

 禁欲期の21日間すべてを完璧に乗り切れる人は少ないでしょう。挫折デーがあるのが普通です。そんなとき、完璧主義の人のように、一度の挫折でタガが外れて、もうどうでもいいやと「投げやり思考」に陥るケースが多いので対策が必要です。

 投げやり状態はコントロールを失っている状態ですが、それでもダイエットならせめて最後のデザートには手を出さないなど、ちょっとした自分ルールを守るだけで、挫折感を最低限に止められます。

 挫折しやすいケースや、実際に挫折してしまった日のために、最低限のルールを用意してください。例えば、食べ過ぎならば、飲み会でカロリーオーバーしたときにどうするか、ストレスがピークのときにどうするか、コンビニでどうしても甘いものが買いたくなったときにどう対処するか、考えておくことをお勧めします。そのためのヒントを2つ挙げましょう。

1. 「投げやり思考」に陥るケースを考える

 会社でむしゃくしゃしたとき、コンビニに寄ったとき、飲み会の日、体調が悪い日など、挫折してしまうケースをいくつも想定してください。

2. 挫折時の対策を考える

 これはケースごとに変えても、一律のルールでも構いません。

 例えば、食べ過ぎならせめて2500キロカロリー以内で止めるとか、最後のデザートは我慢する、飲み会帰りのラーメンは断るなどです。

 投げやり思考のなすがままになると、モチベーションが再起不能になる可能性があります。せめて少しでも自分ルールが守れた、というコントロール感を持っておきたいところです。

 とにかく、最初の3週間は山あり谷ありです。しかし、3週間は1日が21個集合したものに過ぎません。仮に1日ダメでも、翌日はリフレッシュして新しい気持ちで取り組んでください。自己嫌悪感を捨て去り、またリスタートすればいいのです。

 ここで改めて強調したいことは、完璧主義から脱出して最善主義になることです。

 禁欲期は全体の中でいえば、ウォームアップに過ぎません。そこで挫折しないよう、最善主義で何とかうまく乗り切っていきましょう。


 次回は、無気力期を乗り切るコツを紹介します。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ