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ITトレンド 〜データマネジメント編〜

データ保護の基本、「テープストレージ」に技術の粋を見た

価格の低下からハードディスクがバックアップの魅力的な手段として注目され始めているが、やはりデータ保護の基本は磁気テープストレージだろう。容量、スピード、扱いやすさ、そしてコストの優れたバランスが磁気テープの魅力だ。しかも、一見枯れた技術のように思えるが、テープフォーマットの策定からドライブの研究開発、製造、テストに至るまで、絶え間ない技術革新が続けられている。HPにおけるテープストレージの研究開発拠点である英国ブリストルを訪ね、DDS/DATやLTO Ultriumについて話を聞いた。
2006年09月15日 10時00分 更新

 英国の空の玄関、ロンドン・ヒースロー空港から西へ2時間ほど車を走らせると、かつて17世紀から18世紀にかけて砂糖やたばこの貿易で栄えた港町、ブリストルに到着した。町の外れこそ、一部で再開発の騒々しい音を耳にしたが、大部分は当時建てられたであろう堅牢な石造りの古い町並みが続く。企業の大切な情報資産をしっかりと保護してくれるヒューレット・パッカード(HP)のテープストレージは、そんな港町の郊外にある研究開発拠点から生み出されている。

bristol_campus.jpg 広大な農場跡地に建てられたブリストルキャンパス。敷地内には石造りの古い小屋などもそのまま保存されている
rogers.jpg HPのStorageWorks部門でテープストレージ製品のマーケティングマネジャーを務めるデビッド・ロジャース氏

 「ウイルスやハッカーによるデータの破壊は企業に甚大な被害を及ぼすし、人的なミスによるデータ喪失も後を絶たない。いつ起こるのか予想もつかず、備えが必要だ。データ保護は、いわば保険のようなもの」と話すのは、HPのStorageWorks部門でテープストレージ製品のマーケティングマネジャーを務めるデビッド・ロジャース氏。保険発祥の地、英国で聞くと、その言葉の重みも増す。

 ロジャース氏によれば、およそ半数の企業はバックアップが取られていないために、10営業日ではデータのリカバリができない状態にあるし、中堅および中小を見ると、およそ40%の企業はクライアントPCのデータをバックアップしていないという。日本においても政府が事業継続性の確保に向けたガイドラインを示すなど、危機管理の重要な要素として取り組みが始まっているが、実態はお寒い限りだろう。

優れたバランスが磁気テープの魅力

 データ保護の基本的な手段として、先ず磁気テープによるバックアップが挙げられるだろう。ハードディスクドライブの価格が下がり、特に迅速なリカバリが求められるミッションクリティカルなアプリケーションでは、ディスクからディスクへのバックアップが魅力的な手段となっている。

 HPでも例えば、ストレージアレイ製品がこうしたニーズに対応し、遠隔地へのレプリケーションを含めた災害対策ソリューションを提供している。また、バックアップをディスクからディスクに行い、さらにその先にテープを置いてアーカイブしたり、災害に備える「D2D2T」ソリューションも提供している。

 「ディスクからディスクへのニーズが高まっているが、だからといって磁気テープが要らなくなるわけではない」とロジャース氏。

 テープストレージによるバックアップは、何と言っても容量当たりのコストを低く抑えられる。テープカートリッジを買い足せば、そのまま容量を増やすことができるからだ。また、法律で長期保存が求められるデータにもテープなら対応できる。ディスクが5年持つか怪しいところだが、テープなら30年はデータを守り続けることができる。本来その構造上、磁気テープは書き換えが容易だが、最近では、磁気テープ用のWORM(Write Once, Read Many)テクノロジーも登場しており、物理的に改ざんできない構造になっているため、ほかのソリューションと組み合わせることで法規制にも準拠できるという。

 「何よりも容量、スピード、扱いやすさ、そしてコストの優れたバランスがテープの魅力。依然としてデータ保護ソリューションにおいて重要な役割を担っている」(ロジャース氏)

ロングセラーのDDS/DAT、さらに将来のロードマップも

 技術革新がIT業界の原動力であることは言うまでもなく、もちろんテープストレージも例外ではない。

 1990年の製品登場以来、実に1700万台が出荷されているロングセラーのDDS(Digital Data Storage)は、音楽のデジタル録音用に開発されたDAT(Digital Audio Tape)の技術をベースに作られているローエンド向けのテープストレージだ。すでに完成された技術のように思われるが、さらに数世代先のロードマップが示され、ベンダー間の互換性や世代間の互換性を確保しながら、将来にわたる技術革新が約束されている。

 なお、DSS/DATテープストレージの詳細については、「DDS/DATテープストレージ、その知られざるベストセラーの秘密」を参照してほしい。

dat.jpg DSS/DATフォーマットのロードマップ。現在はDDS4や第5世代規格のDAT 72が主流だが、2007年には新しいテープを利用する第6世代のDAT 160ドライブも登場する。なお、世代間の互換性は、1世代前のリード/ライト、および2世代前のリードがそれぞれ確保される

 現行製品のテープフォーマットはデータ非圧縮時の容量が20GバイトのDDS4規格や36Gバイトの第5世代規格、DAT 72が主流だが、2007年には現行の4ミリ幅のテープよりさらに幅を拡大した新しいテープを利用し、データ非圧縮時の容量を80Gバイトに引き上げる第6世代のDAT 160ドライブも登場する。ブリストルの開発拠点でも、DAT 72とDAT 160のテープをどちらもサポートするDATドライブの開発が順調に進んでおり、ラボではプロトタイプが並べられ、動作テストが行われているのを目にすることができた。

labs.jpg ブリストルのラボでは、開発中のプロトタイプはもちろんのこと、既存製品の動作テストも行われていた
laver.jpg DAT製品のマーケティングプロダクトマネジャーを務めるリサ・レイバー氏

 オープンスタンダードへの投資に力を注ぐHPは、このDATドライブの開発・製造では圧倒的な強みを発揮しており、IDCによると、OEMによる提供も含めれば、その市場シェアは実に60%を占めている(2005年工場出荷ベース)。

 「ユニークなユーティリティの提供や、さまざまなサーバ、OS、あるいはバックアップソフトウェアとの幅広い接続性や互換性を確保するテストプログラムの存在が高いシェアを支えている」と話すのは、HPでDAT製品のマーケティングプロダクトマネジャーを務めるリサ・レイバー氏。さらにHP StorageWorksブランドのDAT製品では、ProLiantサーバとの組み合わせにおいて、ボタンを押すだけでリカバリできる「OBDR」(One Button Disaster Recovery)機能も提供し、差別化を図っているという。

急成長を遂げるLTO、100Gバイト超の市場をリード

 オープンスタンダードによるベンダー間競争の促進は、最新技術の導入、適正な価格、幅広い選択肢など、顧客にさまざまな恩恵をもたらす。DAT規格をベースとしたローエンドのDDS製品と並んで、テープストレージの大きな柱に成長しつつあるのが、テープライブラリ製品などに組み込まれることの多いLTO(Linear Tape Open)ドライブだ。2005年には前年比31%という高い成長を遂げ、年間170万台といわれる磁気テープドライブ市場のうち、45万台以上を占め、容量が100Gバイト以上の、いわゆる「スーパードライブ」市場をリードしている。

 1998年にIBM、HP、Seagate Technologyの3社が共同で規格を策定し、2000年に製品化が始まったLTO Ultriumの最初のテープフォーマットは、データ非圧縮時の容量が100Gバイト、2002年からの第2世代では200Gバイトに達している。2004年から出荷が始まった第3世代製品ではさらに400Gバイトに容量を引き上げたほか、先に触れたWORMメディアの規格も追加され、法規制への準拠も果たしている。

 なお、LTOテクノロジーの詳細については、「飛躍するLTOテクノロジー、その知られざる秘密」や「LTOテクノロジー、メカ部分の秘密」を参照してほしい。

lto.jpg LTO Ultriumフォーマットのロードマップ。2004年に発表された第3世代LTO UltriumドライブではWORMがサポートされ、2007年に登場が予想される第4世代では暗号化もサポートされる。なお、世代間の互換性は、1世代前のリード/ライト、および2世代前のリードがそれぞれ確保される
ducjerson.jpg テープストレージ製品の事業計画を担当するマーケティングマネジャー、アンドリュー・ディッカーソン氏

 DDSと同様、オープンな技術に投資するHPの強みはこのLTOでも発揮され、調査機関の調べでは、OEMによる提供も含めれば、その市場シェアは49.9%(2005年工場出荷ベース)を占め、共同で規格を策定したIBMと市場をほぼ二分している。

 HPでテープストレージ製品の事業計画を担当するマーケティングマネジャー、アンドリュー・ディッカーソン氏は、「テープドライブ全体の市場でシェアを伸ばしているのは、IBMとHPの2社だけ。確固たる地位を確立しつつあるLTO Ultriumの成長を反映している」と話す。特にテープライブラリ製品に組み込まれているテープドライブのうち、LTOは82%のシェアを占めるに至っている。その使われ方からして、当然、システムとしての信頼性も求められる。

SASモデルや第3世代製品を投入

 DSS/DATテープストレージと同様、システムベンダーであるHPはLTO Ultrium製品をStorageWorksブランドでも積極的に展開している。

 9月14日に、データ非圧縮時の容量が200Gバイトという第2世代のハーフハイトドライブ、「HP Ultrium 448」にSAS(Serial Attached SCSI)インタフェースを備えたモデルを追加したほか、400Gバイトまで引き上げている第3世代のハーフハイトドライブ、「HP Ultrium 920」も新たに投入された。なお、SASのサポートは、LTO Ultrium製品としては初めてとなり将来を見越した接続環境を提供する(関連記事はこちら)。

製品名 Ultrium 448 SAS
最大容量 圧縮時400Gバイト 非圧縮時200Gバイト
最大転送速度 圧縮時48Mバイト/秒(時間換算 172.8Gバイト/時間) 非圧縮時24Mバイト/秒(時間換算 86.4Gバイト/時間)
インタフェース SAS
メディア Ultrium 2 メディア対応 (Ultrium 1 リード/ライト互換)

製品名 Ultrium 920
最大容量 圧縮時800Gバイト 非圧縮400Gバイト
最大転送速度 圧縮時120Mバイト/秒(時間換算 432Gバイト/時間) 非圧縮時60Mバイト/秒(時間換算 216Gバイト/時間)
インタフェース Ultra320 SCSI
メディア WORMメディア対応、Ultrium 3 メディア対応 (Ultrium 2 リード/ライト互換、Ultrium 1 リード互換)

 さらに、2007年半ばの出荷を目指し、データ非圧縮時最大800Gバイトという大容量を実現する第4世代のLTO製品の開発も進めている。第4世代のLTO規格には、WORMのほか、暗号化の規格も盛り込まれ、テープの盗難や紛失などによる情報漏えいからデータを守る事ができ、テープ製品の最大のメリットであるオフサイト管理にも信頼性が増す事になる。

 「HPのLTO Ultrium製品の高い市場シェアは、その信頼性に支えられている」と話すのは、HPでLTO Ultrium製品のマーケティングプロダクトマネジャーを務めるラウラ・ロレド氏。

loredo.jpg LTO Ultrium製品のマーケティングプロダクトマネジャーを務めるラウラ・ロレド氏

 中でも「Real Time Data Rate Matching」機能は、HPしか提供していない。バッファに入ってくるデータの量に応じて、1ミリ秒というリアルタイムに近い単位でテープのスピードを動的に最適化し、テープ走行を止めない技術だ。テープストレージはその構造上、いったん止まってしまうと、最後に書き込んだ位置を探してから書き込み始めるという動作が必要になるし、磁気テープへのダメージもある。

 「テープ走行の停止は、パフォーマンスが低下するし、われわれはその動作を“靴磨き”と呼んでいて、テープにもダメージを与えてしまう。HPのLTO Ultriumは、それをほぼリアルタイムの最適化によって回避している」とロレド氏。

 もちろん、ユニークなユーティリティの提供や、さまざまなサーバ、OS、あるいはバックアップソフトウェアとの幅広い接続性や互換性を確保するテストプログラムが、HP Ultriumラインの価値を高めているのはDSS/DAT製品と同様だ。

 枯れた技術のように見られがちな磁気テープストレージ製品だが、テープフォーマットの策定からドライブの研究開発、製造、テストに至るまで、絶え間ない技術革新が続けられている。ブリストルのあと、ハンガリーのザラエゲルセグにあるHPの製造拠点も訪ねているので、別の機会に詳しく紹介したい。

[ITmedia]

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提供:日本ヒューレット・パッカード株式会社
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2006年10月31日