MS、オープンソースアプリのマーケットプレイスを準備中マーケティング機能を提供

Microsoftではオープンソースアプリのマーケットプレイスを構築中だ。これはWindowsプラットフォーム上で動作するオープンソース技術のアプリケーション、サービス、サポートを提供するアプリストアのような役割を果たす。同社はこの構想の実現に向け、「Microsoft Web Platform」のコンポーネントを幾つかリリースした。

» 2009年03月24日 16時56分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 Microsoftでは、オープンソースアプリケーションのマーケットプレイスを構築する作業を進めている。このマーケットプレイスは、Windowsプラットフォーム上で動作するオープンソース技術のアプリケーション、サービスおよびサポートを提供するアプリストアのような役割を果たすという。

 MicrosoftでWebプラットフォーム/標準を担当するグループプロダクトマネジャーのローレン・クーニー氏は、ラスベガスで開催された「MIX09」カンファレンスにおいて、「Microsoftでは新たな取り組みが進行中であり、わたしはWebを基盤とするこの素晴らしい新世界を目指した取り組みを率いる新人スタッフの一員だ」と述べた。クーニー氏は、Microsoftに入社する前はIBMおよびBEA Systemsに在籍し、JavaやオープンソースのWeb/新興技術に携わった。同氏のグループのスローガンは「Webを戦場にしない」ことだという。

 この方針に基づき、MicrosoftはMIX09で「Microsoft Web Platform」の幾つかのコンポーネントをリリースした。これは、ツール、サーバ、フレームワークを統合したセットで、各コンポーネントはシームレスに連携し、コミュニティーで利用されているポピュラーなオープンソースアプリケーション/製品と相互運用性がある。

 Microsoft Web Platform構想に含まれる「Web Platform Installer 2.0」(β版)は、Microsoftの無償のWeb製品やその他の無償Webコンポーネントのインストールおよびアップデートを簡素化するツールである。このリリースでは、PHPのほか、ASP.NET MVC 1.0の最終版をダウンロードすることができる。

 Microsoftは「Windows Web Application Gallery」も発表した。このGalleryでは、Webアプリケーションを開発するのに役立つアプリケーションやコンポーネントを検索、調査、ダウンロードできる。開発者は無償のアプリケーションをGalleryに登録することもできる。これにより、コミュニティー、パートナーおよびISV(独立系ソフトウェアベンダー)は、全世界の何百万人ものWindows開発者にアクセスし、それぞれのWebソリューションを宣伝することができる。Galleryには、Acquia Drupal、DotNetNuke、WordPressなどのポピュラーなアプリケーションへのリンクが含まれている。

 クーニー氏によると、Microsoft Web Platformは、次世代のWebアプリケーション(PHPアプリケーションを含む)の構築と運用のために最適化されたツール、サーバ、技術のパワフルなセットだという。PHPのサポートを追加するための準備段階では、クーニー氏のチームは25人の著名なPHP開発者に会い、PHPコミュニティーと共同作業を行う方法についてアドバイスを求めたと同氏は話す。

 クーニー氏のチームは、その戦略について3つの全般的テーマを追求しているという。それらは「シンプルさ」「相互運用性」「連携」である。そしてMicrosoft Web Platformに向けた同社の構想は4本の柱からなる。「コミュニティー」「アプリケーション」「マーケットプレイス」そして「ワンストップショップ」である。「コミュニティー」を構成するのはアプリケーションを作成する開発者であり、「アプリケーション」という柱は、開発者があらゆるものをスクラッチから作成しなくても済むようにするために利用(あるいは再利用)できるアプリケーションおよび技術で構成される。

 「マーケットプレイス」は、「アプリケーションを開発あるいはカスタマイズする開発者とパートナーに、カスタム流通パイプラインを提供する場所であり、これにより彼らはマーケティングに労力を費やさなくても済む」とクーニー氏は説明する。

 「わたしが言うマーケットプレイスには2つの側面がある。すなわち、マーケティングと流通である」とクーニー氏は話す。「開発者とパートナーは、アプリケーションを開発あるいはカスタマイズしたいと考えている。従来は、こういった開発者はカスタム流通パイプラインを持っていなかった。彼らはアプリケーションをマーケティングすることができなかったのだ。われわれがWindows Web Application Galleryで立ち上げたのは、こういったマーケティング・流通パイプラインだ。開発者が優れたアプリケーションを開発し、Web Application Galleryに登録すれば、われわれは全世界でそれをマーケティングする。つまり、彼らはこれまで手にしたことがないようなリーチを獲得するのである」

 「ワンストップショップ」については、クーニー氏は「これはMicrosoft Web Platformのための完全なエンド・ツー・エンドソリューションであり、同構想の要となるものだ。開発者は1カ所であらゆることができるのを望んでいる。われわれは、アプリケーションをワンストップで開発、販売、ダウンロード、配備できる場所を開発者に提供したいのだ。ツール、言語、拡販に関する多数のオプションを備えたセキュアな環境を提供するということだ」と説明する。

 クーニー氏によると、どのWebプラットフォームでもそうだが、特にMicrosoftのWebプラットフォームにとっては、マーケティングと流通という要素が活気づくことが極めて重要だという。

 「われわれは収益化という側面も重視しており、そのためのバックエンドシステムを作成する必要がある」と同氏は語る。「これはWindows Azure上のApplication Galleryで実現できる。Galleryはアプリケーションを作成、売買する場所である。わたしは、このインフラならびにWindows Azureをさまざまなレベルから注目していくつもりだ」(同氏)

 「Microsoftは開発者およびその顧客の成功を願っている」とクーニー氏は話す。「それがわれわれの最大の目標だ。われわれが目指している場所に目を向け、わたしは船を正しい方向に進めているのだと言うことができれば、それで満足だ。開発者たちと一緒に仕事をするのがわたしの願いだ」

 クーニー氏は3月18日付のブログ記事で、Microsoft Web Platformについてさらに詳しく述べている。

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