テレビはテレビ、新聞は新聞、雑誌は雑誌など、媒体単体でマーケティングを完結できる時代ではない。多くの既存メディアが影響力を低下させている現在、Webと連携させたストーリーを描いている企業が、その認知度を大きくアップさせている。
テレビコマーシャルを流す前に、ティーザーサイトで前景気を盛り上げることは今や珍しいことではなくなっている。mixiやモバゲータウンなどの人気サイトを活用して、テレビとセットにしたキャンペーンを打つケースも多く見られる。
それらは、豊富な宣伝予算が確保されないと実現は難しいかもしれない。しかし、前述の「キラーウェブ育成3カ条」を思い出してほしい。Webサイトは、対象ユーザーや検索ニーズごとに細分化し、それを徹底的に深掘りした上で、ニッチに訴求する。例えば地域を絞ったビジネスの場合、テレビなどのマス媒体ではなく地元のフリーマガジンの方が訴求力が強いかもしれない。業種によっては明らかにそういえる場合がある。
ほかのメディアから誘導するための企画を考えないといけないし、その企画を効率よく伝える最適なメディアを調べないといけない。アクセスしてくれたユーザーを逃さないためには、たくさんの情報を直接提供したほうがいい。
細分化・深掘り・ニッチな訴求――。これらは、マーケティングを面でとらえるために必要な施策なのである。
試行錯誤のプロセスの中では、何度試しても効果が出ないことが往々にしてある。本連載で紹介するのは、広告費に2000万円をつぎ込んでも70万円しか売れず、資金が底を尽きかけたベンチャー企業など、失敗経験を積み重ねた企業ばかりだ。
ネットの世界は移り変わりが早い。連載で紹介する事例の具体的な施策は、そのまま応用できないかもしれない。しかし、あらゆる企業が試行錯誤を繰り返した上で導き出した「唯一共通している成功パターン」は、時代の変化とともに色あせるものではない。本連載でキラーウェブとして勝ち残るためのパターンをつかんでもらえれば幸いである。
エクストラコミュニケーションズの代表取締役。「キラーWebでNo.1をつくる」をテーマに、コンサルティングやプロデュース、マーケティングなど各種Webサービスを提供している。アイティメディア「オルタナティブ・ブログ」の「キラーウェブがキラーカンパニーを創る」で、Webマーケティング関連の記事を執筆中。著書には「キラーウェブ」 「Webプロデュースのプロが教えるサイト集客のツボ」などがある。
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