アカウンティング・サース、税理士+中小企業向け「クラウドマイナンバー管理サービス」開始できれば“持ちたくない”税理士に特化

税理士向けクラウド会計サービス「A-SaaS」を展開するアカウンティング・サース・ジャパンが、クラウド型の「マイナンバー管理サービス」を開始。“できれば持ちたくない”税理士と税理士へ税業務を委託する中小企業に向けて展開する。

» 2015年04月27日 11時00分 公開
[岩城俊介ITmedia]

 アカウンティング・サース・ジャパンは4月27日、2016年1月にはじまる「マイナンバー制度」への対応支援を目的にした税理士、中小企業向け「クラウドマイナンバーサービス(仮称)」を開始すると発表した。

 同社は税理士業務に特化したクラウド会計サービス「A-SaaS」を展開。税理士は事業者より納税申告書や法定調書などの税務関係書類の作成を委託される立場で、マイナンバー取り扱い業務も委託される可能性がある。マイナンバーの取り扱いは、個人情報保護法より罰則の種類が多く、法定刑も重い。マイナンバー管理の対応が必要となる企業はともかく、マイナンバーの取り扱いはその業務を請け負う税理士にとっても業務負担の増加や万一時のリスク増などがある。取り扱い方を誤ると事務所の存続に関わる制度なだけに、どう対応すれば悩む事務所が増えている。

 この税理士向け対策のため、クラウドマイナンバーサービス(仮称)はマイナンバーを「税理士が持たずに管理できる」コンセプトのサービスに仕立てた。税理士は顧問先企業のマイナンバーを保管することなく、最終的な書類出力時など業務上必要な場合のみ利用できるセキュアな環境をクラウドで提供する仕組み。A-SaaSサービス上で展開していく。

photo セキュアなクラウド環境で管理する仕組みで、委託された税理士が「マイナンバーを持たずに管理できる」をコンセプトにした

 クラウドを活用したマイナンバー管理方法をテーマにしたセミナーや関連情報サイトの展開など、税理士と中小企業向けの情報提供も強化していく。

マイナンバーとは

 マイナンバーは国民一人ひとりに固有の12ケタの番号を割り当て、それに基づき国民の生活や収入など各自の事情に応じた行政サービスの迅速化を図る目的のもの。2016年1月に開始する。主に(当初は)、社会保障制度(年金、医療、介護、福祉、労働保険)、税制(国税、地方税)、災害対策に関する分野に使われる。2015年10月よりマイナンバーの番号が付番された通知カードが国民一人ひとり届き、個々の申請手続きによって個人番号カードが交付される。

 マイナンバーは「特定個人情報」であり、取り扱いが厳格に規定されている。これまで個人情報保護法では対象外(5000件以下)の事業者であっても、それを1件でも取り扱うならば「個人番号関係事務実施者」となり、規制の対象になる。

 事務を担当する機関は行政機関や自治体などが中心だが、企業年金や健康保険などは個々の民間企業が担う。例えば、税分野に関しては税務当局だけでなく申告する民間企業側でも収集と管理の対応が必要となるため、基本的にはすべての民間企業や団体が対象になる。その取り扱いについて「必要な範囲を超えて扱わない」「情報漏えいしないよう安全に管理する」「取り扱う従業者を教育、監督する」「委託先を監督する」などの義務や責務を負う。具体的には、制度開始までに収集時の厳格な本人確認を行うシステムや漏えい防止のための安全管理処置を講じる社内ITシステムやポリシー制定、改訂を行っていく必要がある。




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