情シスにとってIoTは、クラウドとモバイルに次ぐ“三度目の正直”と八子氏は言う。もし、企業のクラウド化やモバイル化が業務部門主導で進み、情報システム部門の存在感を出せなかったとしたら、今度こそ挽回のチャンスというわけだ。
しかし、その一方で「この流れについていけなければ、クラウドやモバイルのときとは比にならないレベルで“取り残されてしまう”。いわば最後のチャンスである」とも警告する。人員を増やすことも容易ではない状況で、どう新しいことに取り組めばいいか、頭を悩ませている情シス担当者も多いのではないだろうか。
「IoTというのは、まだIT化できていない領域に対して抜本的に手を入れることで価値を生むものです。そのため、これまで情シスの人たちが“ここまでが自分達の範囲”と考えていた部分を、大きく超えた取り組みをしなければいけません。
現代は特に、『同じ陣容で今までより多くの仕事をやりなさい』と言われる時代です。負担が増えるように感じる人もいるかもしれませんが、リソースの一部を運用に使っているのならそこを自動化しなさい、今やっていることは効率化して、別のことをしなさい、ということなのです」(八子氏)
IoT化の提案の際に、上記のような話をしないITベンダー側にも責任はあると擁護しつつ、八子氏は情シスが攻めの姿勢に転じる必要性を力説する。今、情報システム部門はシステムそのもの在り方や、業務の在り方を再考する時期がきている。IoTは、そのきっかけの1つになる力を持った大きなトレンドといえるだろう。
「われわれの発想では、2年続けて同じ仕事をしているのはアウト。前年と同じ運用を今年もやるなら、アウトソースするなり自動化するなり、あるいはもっとたくさんの運用を任されるなりしなければ、その人に任せる意味がありません。
ITがカバーする範囲が増えれば、それだけ運用も増えるわけで、愚直にやっているだけでは追い付くわけがないんです。今やっていることを効率化できるソリューションはたくさんあるのに、なぜやらないのか。『運用が自動化されたら仕事がなくなる』という人がいますが、全然そんなことはないですよ。ITがカバーできていない領域は、気付いていないだけでまだまだあるわけですから」(八子氏)
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