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冬ボで買いたいイヤフォン&ヘッドフォン総チェック(4/5 ページ)

» 2009年12月25日 12時22分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]
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 オーバーヘッド型はヘッドフォンのなかでもっともスタンダードなスタイルといえるタイプ。外部にはあまり音が漏れない密閉型と、振動板の背圧を外に逃して音質を整えるオープンエアー型という、2つの形式が存在する(据え置き型スピーカーでいうところのシールドとバスレフに近いニュアンスにとらえてもらえばいい)。オープンエアー型は構成上かなりの音漏れが生じるため、室内用と考えていいだろう。

 音色傾向としては、大きく分けると音楽性を豊かに表現しようとするオーディオタイプと、原音を忠実に再現しようとするモニタータイプの2つ分かれている。価格帯は、カナルタイプに比べて少々上にシフトする傾向にあるが、その分、耐久性は格段によい。金額をあまり気にせず、長く使い続ける上質な製品を求めるのが賢い選択だ。

オーバーヘッド型ヘッドフォン――実売1万円以下クラス

ATH-WS70(オーディオテクニカ)

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製品特徴:ダブルチャンバーメカニズム/精密切削アルミニウムハウジング/高密閉性イヤパッドの3つから成り立つ「ソリッドベースシステム」によって豊かな低域表現能力を獲得。この価格帯としては望外の削り出しアルミハウジングは、スピンカット処理で上質なイメージを演出している。スイベル機構によって持ち運びもスマートだ。

音の特徴:低域の聴かせ方が絶妙。量感を保ちつつもドンシャリにはせず、最低域への伸びが良いため、現代音楽だけでなくジャズ/クラシック系も充分楽しめる。解像度感はそれほど高くないため、さすがにフルオーケストラとなると少々厳しいが、小編成であれば十分に楽しめる。

音色傾向
解像度感 粗い ―○――― きめ細かい
帯域バランス 中域重視 ―○――― ワイドレンジ
音色傾向 ウォーム ――○―― クール

HP-RX900(日本ビクター)

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製品特徴:50ミリ径ドライバーの背面に同心円ダクトを配置することでハウジング内の圧力を均等化、高解像度とクリアな再生音を実現している。装着面では、ソフトな肌触りと蒸れを抑えるプロテインレザーと側頭部の形状に馴染む低反発ウレタンをチョイス。長時間リスニング時の快適性も充分考慮されている。

音の特徴:低音にボリューム感のある、腰の据わったピラミッドバランスのサウンド。原音に忠実とは言いにくいが、楽器の雰囲気を上手に伝えてくれるため違和感はない。ロックやジャズなど、音楽のノリやグルーブ感を重視したい人にはかなりベターなチョイス。

音色傾向
解像度感 粗い ○―――― きめ細かい
帯域バランス 中域重視 ○―――― ワイドレンジ
音色傾向 ウォーム ―○――― クール

オーバーヘッド型ヘッドフォン――実売3万円以上

K272HD(AKG)

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製品特徴:モニターヘッドフォンでその実力を発揮している、AKGの主力モデル。アコースティック面の強化やパーツ素材の変更など数多くのブラッシュアップを施すことで、先代モデルに対して格段の解像度感向上を果たした。兄弟モデルとしてセミ・オープンエアー型のK242HDも用意されている。

音の特徴:まさにモニターヘッドフォンのお手本といえるストレートなサウンド。音色に飾りはいっさいなく、時には録音の不手際もあからさまにしてしまう厳しさを持ち合わせる。もちろん音楽ジャンルを選ぶこともない。音楽のすべてをストレートに味わいたい人に。

音色傾向
解像度感 粗い ――○―― きめ細かい
帯域バランス 中域重視 ―――○― ワイドレンジ
音色傾向 ウォーム ――○―― クール

BOSE around-ear headphones  TriPort (ボーズ)

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製品特徴:140グラムという軽量ボディと柔軟性の高いパッドによって、快適な付け心地と高い遮音性を両立している。サウンド面では、単なる単体の物理特性を求めるのではなく、心理音響学に基づいたチューニングを実施。音楽を聴いた人間が「心地よい」と感じる音を獲得しつつ、ヘッドフォンとは思えない空間的広がりも実現している。

音の特徴:まさにボーズサウンドと呼ぶべき独特のキャラクターを持つ。低音がしっかりと鳴り響き、男性ボーカルやギターなども明瞭(めいりょう)で耳に良く届く。時に苦手な曲調も露呈するが、聴かせどころのツボを心得た見事さはボーズの面目躍如といったところ。聴き疲れのなさといい、多くの人が満足できる優等生だ。

音色傾向
解像度感 粗い ―○――― きめ細かい
帯域バランス 中域重視 ―○――― ワイドレンジ
音色傾向 ウォーム ―○――― クール

SRH840(Shure)

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製品特徴:カナルタイプ型イヤフォンで一世を風靡したシュアーが、本格的にオーバーヘッド型への参入を果たした。ドライバーや各部パーツに徹底的なチューニングを施すことで、ワイドレンジさと高解像度感を両立。モニターライクな使い方も可能となっている。

音の特徴:丁寧で細やか。音色のストレートな印象にモニターヘッドフォンらしさがうかがえるが、音楽を生々しく聴かせてくれるチューニングの絶妙さはさすがシュアーといったところ。逆にモニターヘッドフォンとして細部までサウンドチェックしたい人には、兄弟機の「SRH440」がオススメ。

音色傾向
解像度感 粗い ―――○― きめ細かい
帯域バランス 中域重視 ―――○― ワイドレンジ
音色傾向 ウォーム ―○――― クール

AH-D2000(デノン)

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製品特徴:軽量マグネシウムフレームや3次元縫製イヤーパッドなどによって、長時間にわたる装着にも不満がないよう熟慮。同時に高比重ハウジングや50ミリ径ドライバー、マイクロファイバー振動板などによって、サウンド的にもひずみを押さえた、きめ細やかな再生音を特徴としている。

音の特徴:良い意味で和製の繊細な音。一般的な製品とは異なり、スピーカーから聞こえてくるかのような空気感のある柔らかな音質と、ヘッドフォンであることを忘れさせる広がりのある空間表現がユニーク。ヘッドフォンのダイレクトすぎる音が苦手と思っていた人にはピッタリの1台。

音色傾向
解像度感 粗い ○―――― きめ細かい
帯域バランス 中域重視 ―○――― ワイドレンジ
音色傾向 ウォーム ○―――― クール

KH-K1000(ケンウッド)

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製品特徴:アルミニウム製ハウジングと制振材、大口径53ミリ径ドライバーユニットの搭載によって、量感あふれる低域再生を実現。磁気回路には透磁率の高いL字型純鉄製ヨークを採用することで磁束を高密度かつ均一化し、ボイスコイル動作のリニアリティを向上させることで、音のゆがみを極限まで排している。

音の特徴:高域への素直でストレスのない伸びはそれだけでも魅力的。女性ボーカルや楽器の音を、丁寧かつ美しい音色で再生してくれる。同時に骨子のしっかりしたサウンドも好印象。ハイファイ系の、整いの美しいサウンドを求めたい人には有力な候補となるはず。

音色傾向
解像度感 粗い ――――○ きめ細かい
帯域バランス 中域重視 ―――○― ワイドレンジ
音色傾向 ウォーム ―――○― クール

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