麻倉氏: NHKは、膨大な映像データを有効活用するため、欲しいシーンを簡単に見つけられる映像検索技術を開発しています。現在は番組表などの情報(メタデータ)を利用したテキスト検索しかできませんが、映像に映る被写体を識別するオブジェクト認識技術と、画像を使って映像を検索する“類似映像検索技術”を利用して、もともと持っていないキーワードでも映像を検索できるシステムを開発しました。
放送局のアーカイブから求める画像を任意に取り出せるようになれば、検索効率は大幅に上がります。現在のところ、100万ショット6500番組をアーカイブしているそうですが、NHKの番組はのべ70万以上。まだまだ、これからですね。
この技術は過去にも何度か取り上げています。2011年には「UTAN」(User Technology Assisted Navigation)という愛称が付いていました。視聴者がどのようなコンテンツに興味を持つのかというデータを取得し、オススメ番組を推薦するというもので、多チャンネル時代に重要な研究といえます。
では、どのよう視聴者の興味を計るのでしょう。以前はカメラを使い、視聴者が横を向いたりすると興味が薄いと判断してスコアを下げる仕組みでした。今回はさらに、視聴者の表情まで読み取ります。例えば笑いながらテレビを見ていたら評価を上げ、似た番組を推薦します。
今後、全録レコーダーやVODなど、膨大な番組データベースの中から見たいものを選ぶことが増えてくるはずです。将来のテレビは個人の嗜好を理解し、賢く推薦してくれるようになるかもしれません。かなり面白いトライだと思います。ただし、もうUTANとは言わないようです。分かり易いネーミングなので、継続性の観点からもUTANの名前を残したほうがよいのでしないでしょうか。
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