インタビュー
» 2017年02月24日 23時06分 UPDATE

CP+ 2017:第4世代「FlashAir」は3倍速い! 東芝に聞いた秘密

[芹澤隆徳,ITmedia]

 東芝は、パシフィコ横浜で開催中の「CP+ 2017」で2つの発表を行った。1つは最上位モデル「EXCERIA PRO」(エクセリア・プロ)の「SDXU-Cシリーズ」。もう1つは第4世代となる無線LAN内蔵SDメモリーカード「FlashAir」の参考展示だ。同社メモリ事業部、メモリ営業推進統括部の高橋俊和統括部長を中心に話を聞いた。

CP+の東芝ブースと高橋統括部長

 まずEXCERIA PROは読み出し最大速度270MB/秒、書き込み最大速度250MB/秒を実現したプロ仕様のSDHC/SDXC UHS-IIメモリーカードだ。「256GBのカードとしては“最速”(2017年2月時点)。4K動画の撮影などに威力を発揮します」

「EXCERIA PRO」(エクセリア・プロ)の「SDXU-Cシリーズ」
裏面に接点が多いのがUHS-IIインタフェースの特徴。後方互換性は維持している

 また、4K動画撮影以上に書き込みスピードが求められるのは連写だ。例えば富士フイルム「X-T2」で秒間14コマの連写を行った場合、RAWデータにJPEG、メタデータ(EXIF情報)などを合わせて700M〜800MB/秒の転送速度が必要になるという。実際にはカメラ側のバッファー容量や処理速度などで連写の速度や一度に撮影できる枚数は変わるものの、保存先となるSDカードが少しでも高速化することで、“撮影のチャンス”は広がるという。

 「われわれはアンバサダーとして6人のプロカメラマンと一緒にやっています。彼らに実際に使用してもらったところ、連写時に『小気味よい』と好感触でした」。EXCERIA PRO「SDXU-Cシリーズ」は、2月25日に発売する予定だ。

新世代「FlashAir」の秘密

 「FlashAir」は、SDカードにメモリーと無線LANの機能を持たせた製品。2012年に登場し、撮影したデータをその場でPCやスマートフォンに転送できるのがメリットとなる。最近のデジタルカメラは無線LAN機能を搭載しているものがほとんどだが、「旧モデルを愛用し続けているカメラマン、無線LANを内蔵したカメラでも、より早い転送速度を求めている人などを中心に人気を集めている」という。

 第4世代のFlashAirは、新たにUHS-Iインターフェースに対応し、4K動画撮影も可能なUHSスピードクラス3、SDスピードクラス10を実現。読み出し速度は最大90MB/秒、書き込み速度は最大70MB/秒となった。容量は、16GB、32GB、64GBと1ランクずつアップ(従来は8GB、16GB、32GB)で第2四半期の発売を予定している。

 もう1つの大きな特徴が、新規設計のLSIを搭載したことによる無線通信性能の大幅な向上だ。現行製品に比べ、約2.9倍にあたる31.4Mbpsとなった。これは理論値ではなく、同社による実測値だという。

 しかし、無線LAN規格は従来品と同じIEEE 802.11nで、とくに新しい技術を導入しているわけではないという。では、どのように高速化を果たしたのか。

 開発を担当したメモリ応用技術担当の上岡裕一参事によると、「通信の安定性を向上させるノウハウを取り入れ、新しいアルゴリズムとして実装した」という。ノウハウの多くは既存の無線LAN製品でも使われている手法だが、その効果は抜群だった。既存モデルと第4世代の横並び速度比較を行ったところ、同じ画像データ転送するのにかかった時間はわずか10分の1。CP+会場のように無線LANアクセスポイントが乱立する混雑した場所ではかなり有利に働くようだ。

比較スタート。同じ画像データをスマホにダウンロードする
転送速度は使用する環境にも大きく左右される。今回は3倍どころか10倍速い数字が出た
Wi-Fiアナライザーの画面。会場はすごく混雑していることが分かる

 もう1つの大きなポイントは、新たに「Eyefi連動機能」に対応したこと。「デジタルカメラから無線LANで転送しているとき、カメラ側が省エネのために電源オフになってしまい、データ転送が中断されることがありました。今回はそれを解消しました」

 周知の通り、Eyefiは“無線LAN機能搭載メモリーカード”というジャンルを切り拓いた製品だが、2016年にリコーの研究子会社であるRicoh Innovationsに事業を譲渡した。「われわれは独自にカメラメーカーに対応を働きかけていたのですが、実はEyefiは同様の機能を実現していました。それを活用することにしたのです」(上岡氏)

 使い方は簡単。専用アプリの「FlashAir」(iOS/Android)もしくは設定ソフトウェアで機能を有効にするだけだ。ただし、カメラ側もEyefi連動機能に対応している必要がある。

 そのほかの特徴として、既存モデル(第3世代)と同様にRicoh Innovationsが提供するアプリ「Keenai」との連携も可能。Keenaiアカウントを持って入れば、撮影した写真や動画を、PCやタブレット、スマートフォンに自動転送し、クラウドとの同期保存が行える。

ラインアップは16GB、32GB、64GBの3機種

 最後に東芝の置かれた状況を鑑み、エンドユーザーに向けたメッセージをいただいた。「メモリ事業については業績も良く、利益も出ているので心配はいりません。われわれはフラッシュメモリを生産し続ける、強い覚悟で臨んでいます。引き続きご愛顧いただければと思います」(高橋氏)

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