高級ワインの品質をRFIDで保証〜アクセンチュア堀田氏:RFIDのインパクトは?(1/2 ページ)

» 2004年09月06日 23時59分 公開
[聞き手:怒賀新也,ITmedia]

 流通小売業におけるRFIDへの期待は大きい。バーコードのように手で一つひとつの商品をスキャンしなくても、複数のICタグを同時に読むことができるため、物流現場や在庫管理の自動化が可能になる。また、小売の現場、例えば、スーパーマーケットなどでICタグを利用すれば、消費者は食品の生産者や添加物といった情報を確認することもできる。

 だが、「夢の世界」が語られる一方で、技術的にも、運用の面からも、まだまだ多くのハードルが残されている。ICタグの読み取り精度、プライバシーの問題、標準化など、国際的な観点からの対応も求められる。

 米国でRFIDへの積極的な取り組みで知られるのがAccenture。同社日本法人でRFIDのリード役を務め、総務省のICタグ研究会にも出席している同社戦略グループ、堀田徹哉氏に、RFIDの現状についてさまざまな観点から話を聞いた。ロングインタビューをテーマごとに5日間にわたりお伝えする。(各回のテーマは文末に記載。)

通信事業者、小売事業者などの戦略提案などを行ってきたという堀田氏。ブロードバンド、現在はRFIDと「新たな技術への対応はいつも」同氏がリード役として選ばれるという。

ITmedia AccentureのRFIDの取り組みについて教えてください。

堀田 AccentureにはRFIDのグローバル組織があります。これがリードして、欧州やアジア太平洋などの地域ごとに、RFIDの「Goto Marketチーム」が発足しました。私は日本におけるリード役を務めています。まだまだ、市場は立ち上がったばかりで、実証実験が中心の段階です。われわれは、そうした実験の場に積極的に参加していく方針を打ち出しています。

ITmedia RFIDにはどのような印象を持っていますか?

堀田 RFIDへの取り組みは、地域によってタイムラグがあります。米国では既に、Wal-Martや米国国防総省(DOD:Department Of Defence)が、「Supplier Mandate」、つまり、製品にICタグを貼り、RFIDに対応できるサプライヤー以外には製品を納入させないという方向で動いています。

 Wal-Martは2005年の1月を締め切りに、これを実行するため、現在、サプライヤーは対応に追われている状況にあります。これはこれで、いろいろ問題をはらんではいますが、RFIDのマーケットとしては確実に立ち上がって来たと言えます。その市場に対して、プランニングや戦略の立案、そして、システム開発といったビジネス機会が、具体的にAccentureのビジネスとしても発生しています。それが米国の状況です。

 日本はというと、Wal-Martのような動きは出ておらず、まだ業界としては差し迫った状況にはありません。どちらかと言えば、政府主導で実証実験を重ねている段階です。

 個別で導入するケースも出てきてはいますが、Accentureのターゲットからは少しずれています。具体的なビジネスとして立ち上がるのは、来年か再来年からと見ています。

 ただ一方で、検討が進んでいないかというとそうでもありません。通常のビジネスとして、Accentureが付き合いをしている顧客企業の中には、個別の領域でRFIDの導入を検討しているケースもあります。

小売のメリット

ITmedia 小売業者は、サプライチェーンにRFIDを導入することによって、どのようなメリットを受けることができますか?

堀田 業務の効率化です。今まで手作業で行っていたことを自動化することで、人件費を削減できる。もう1つは、サプライチェーン全体における(需要予測や生産などの)計画精度を高めたり、リードタイムを短縮することも可能です。つまり、要所での業務効率化の集大成という側面が1つにあります。

 また、こうした業務を自動化し、リアルタイムで情報を把握できるゆえに、配送のタイミングや在庫の棚卸しのタイミングをリアルタイムに近づけることができます。その結果、きめ細かな管理により、流通在庫全体を圧縮することが可能になってきます。

 さらに、小売店舗における売れ筋情報や実売情報をメーカーサイドにフィードバックして、欠品や余剰在庫を減らすといった取り組みも将来的には考えられます。きめ細かいサプライチェーンを構築することで、今まで販売ロスをしていたようなケースを減らし、結果的に売り上げを増やしていくことができます。これが、サプライチェーンにおける主なRFID導入の効果です。

さまざまなICタグ。(撮影はSun RFID デザインセンター。)

品質管理にも効果が

ITmedia サプライチェーン以外では、どんな効果が考えられますか?

堀田 サプライチェーンから連鎖する領域ではありますが、品質管理の向上も図れると考えています。

 そして、品質管理には2通りのケースがあります。1つは、ICタグを使って、エンド・ツー・エンドのサプライチェーンのモノの流れをひも付けていくことで、トレーシングができるようになること。消費者の手に渡った商品の品質を、部品や素材に遡って保証することができるのです。

 もう1つは、流通過程における品質を保証することです。

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