不具合修正サービスからの「脱皮」目指すInnoPath

» 2005年10月13日 23時35分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 携帯電話の不具合修正ソリューションで知られる米InnoPath Software。既にKDDIがau携帯のファームウェアアップデート用に同社サービスを採用しており(6月23日の記事参照)、これに合わせて東芝、三洋電機、カシオ日立モバイルコミュニケーションズなどがInnopathシステムへの対応を発表している。

 もっとも、InnoPathの戦略は「不具合修正」だけにはとどまらない。日本支社の松田芳明社長に、事業の狙いを聞いた。

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ITmedia InnoPathは業界では知られた企業だが、“縁の下の力持ち”的存在だけに一般ユーザーの中には知らない人間もいる。どのような企業か簡単に紹介してほしい。

松田 InnoPathは、米国や日本で無線経由のファームウェアアップデートサービスを提供する事業者だ。日本のマーケットで先行しており、KDDIなどの導入事例があったが、米国でもいくつかの事業者がサービスを採用し始めた。

 ファームウェアアップデートといえば不具合の修正によく使われるが、ユーザーインタフェースのカスタマイズや、無線端末の遠隔診断、無線アップグレードによる新機能の追加などにも利用できる。事業者にとっては(端末を一台ずつ回収する場合に比べ)コストを削減でき、システムを柔軟にできる。

ITmedia 10月4日には、米Openwave Systemsから携帯端末管理製品ラインを買収したと発表した。この狙いを教えてほしい。

松田 Openwaveは似たエリアの事業をやっていて、(無線ソフトウェアアップデートに必要な)サービスプラットフォームを持っている。我々はOpenwaveからソースコードをもらって、開発を継続できる。買収によって、キーとなるエンジニアもうちにきた。彼らはCDMA/GSMのサービスをやっていたが、我々のシステムとインテグレート(統合)するつもりだ。

 今回の買収では、開発だけでなく販売面でもOpenwaveと提携した。詳細は明かせないが、InnoPathとOpenwaveの両方がサービスを販売できる。こうしたことにより、営業チャネルを拡大できる。

ITmedia 先ほど、「不具合修正以外にも」という話が出たが、より具体的なアイデアは。

松田 不具合修正以外に、例えば設定のコンフィギュレーションが考えられる。例えば欧州などでは国が変わると無線端末が利用すべき周波数が変わったりするが、これを無線アップデートで簡単に済ませてもいい。ほかに「端末が動かないのだが、どういうことか?」という問い合わせに対し、コールセンター側で無線経由で“端末の設定が正しいか”診断するといったことも行える。

 法人顧客向けには、ウイルス対策ソフトのバージョン管理を提案することも可能だろう。「着せ替えケータイ」のようにメニュー画面のユーザーインタフェースをカスタマイズするほか、個人情報保護の問題はあるが、ユーザーが持っている端末のさまざまなデータを吸い上げて、マーケティングデータとして活用することも考えられる。

 従来は、不具合修正サービスしか提供できていなかった。ほかのサービスも、来年にかけて実現できる見通しだ。

ITmedia 追加サービスの実現に向けて、課題は。

松田 インフラ部分の問題が複雑だ。例えばファームウェアアップデートのシステムを導入するとして、デバイスメーカーは統一的な仕様にするのを嫌がる。それなら、個別に対応できるのか。コンシューマー向けサービスを提供するとして、今度はコンテンツプロバイダとの話し合いをどうするのか。このあたりは非常に難しいところだが、克服できればノウハウにつながるだろう。今まさに試行錯誤しているところだ。

 不具合修正の無線アップデートは、導入企業にとって(製品回収の)コストを削減するための議論になる。しかしユーザーインタフェースをカスタマイズする、といったサービスに利用されると、これは「どう収益を増やすか」の議論になる。そしてこちらのほうが市場が大きい。今は我々にとってビジネスの転換期。拡大できるかどうか、重要なところにきている。

(文中敬称略)

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