コラム
» 2005年12月03日 02時20分 UPDATE

モバイルSuica対応機種の謎

利用できるのはVIEWカードユーザーのみ、対応端末も意外に少ないモバイルSuica。発売されたばかりのD902iすら非対応機種だ。なぜこんなに利用のハードルが高いのか調べてみたのだが……。

[吉岡綾乃,ITmedia]

 先日、あるシンクタンクが主催する、おサイフケータイ関連セミナーに行ってきた。モバイルFeliCaの普及についての話題になったとき、講師を務める研究員が「2006年1月にはモバイルSuicaがスタート、おサイフケータイの普及にも大きく弾みが付きます!……と、今までは言っていたんですけどね。先日モバイルSuicaの詳細が発表になりましたが、モバイルSuicaのおかげで爆発的におサイフケータイが普及することはなさそうです」と話すのを聞き、思わず苦笑してしまった。全く同じことを記者も感じていたためだ。

 Suicaの発行枚数は、2005年8月時点で1300万枚超。東日本では非常に高い普及率を誇るFeliCaカードだ。このSuicaユーザーのうち、モバイルFeliCa対応の携帯電話を持っているユーザーがモバイルSuicaを使い始めれば、おサイフケータイの利用頻度は飛躍的に上がるだろう、と期待する声は大きかった。

 しかし2006年1月にモバイルSuicaのサービスが始まっても、利用する人は少ないだろう。理由は2つある。

JR東の発行する「VIEWカード」ユーザーであることが第1条件

 1つは、JR東日本が発行しているクレジットカード「VIEWカード」からのオンラインチャージにしか対応していない点だ。現在駅に設置されているチャージ用の設備はカードを差し込む形になっており、携帯電話では利用できないため、クレジットカードや銀行口座からのオンラインチャージのみになるだろうとは予想されていた。しかし、2005年8月時点でユーザーが65万人のVIEWカードでしか利用できないとなると、普及は難しい。

 ただJR東日本では他社発行のクレジットカードを排除しようという意図はなく、あくまで「まずは自社のクレジットカードから」というスタンスなので(11月9日の記事参照)、対応するクレジットカードは徐々に増えてくるだろうと思われる。

 余談だが、モバイルSuicaでも補助的にではあるが現金チャージはできる。駅のコンビニ「NEWDAYS」に設置された新型端末を利用するか(12月2日の記事参照)、ファミリーマートの一部の店舗に設置されたFamiポートを利用することで、現金チャージが可能だ。

JR東しか知らない「対応機種の基準」

 もう1つが、モバイルSuica対応機種の少なさだ。サービス開始の2006年1月28日時点での対応をうたっているキャリアはドコモとau。ボーダフォンのおサイフケータイは、モバイルSuicaへ対応するかどうか未定となっている。

 おサイフケータイがまだ2機種しかないauは両方ともモバイルSuicaに対応しているが(ただし「W32S」は新バージョンへの変更が必要)、NTTドコモのおサイフケータイには、モバイルSuicaに対応しないものがかなりある。11月14日時点での対応機種は「F902i」「N902i」「P902i」「SH902i」「N901iS」「P901iS」「SH901iS」の7機種のみ。ムーバ 506iCシリーズ、FOMA 900i/901iシリーズは全滅だ。

 3月に行われたフィールドテストの時点ではSH901iCとF901iCを使っていたため、901iCシリーズ以降の対応となるのかと考えていたのだが、発表された対応機種は予想以上に少なかった。基本的に対応機種は2005年6月発売の901iSシリーズ以降、しかし901iSシリーズの中では「F901iS」「D901iS」が、11月から発売が始まったばかりのFOMA 902iシリーズでも「D902i」「SO902i」が対応していない(未発売のSO902iが対応するかどうかは記事執筆時現在不明)。

 特に最新のFOMA 902iシリーズが全機種対応といかなかったのは痛い。なぜD902iはSuicaに対応していないのかを聞いてみた。

 「モバイルSuica対応機種のテストは、JR東さんが独自にテストをし、(対応/非対応の)判断をしています。こちらからはできあがった端末をお渡しして、どれが対応機種になるかを聞かされるだけ。どういう判断基準なのか、我々も知りたいくらい」(NTTドコモ広報部)

 「当社で試験をしてみて、その試験に通った端末だけを対応端末として発表しています。試験に通らないものは、対応端末にはなりません。詳しい試験内容は公開していません」(JR東日本広報部)

 規定スペックを満たしていないとか、本体の強度が足りないとか、具体的な理由が明らかになっていればまだ納得がいくが、これではさっぱり分からない。

 おサイフケータイを持っているのに、モバイルSuicaの対応機種に入っておらず残念に思った人も多いだろう。記者もまたD902iを購入、その直後にJR東の発表を聞いて自分の端末がモバイルSuicaに対応していないことを知りショックを受けた1人だ。JR東日本には判断基準をユーザーに対して明らかにしてほしいし、せめて今後発表される機種は全機種モバイルSuicaに対応してほしいと願わずにはいられない。

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