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» 2007年07月16日 23時50分 UPDATE

ワイヤレスジャパン2007 キーパーソンインタビュー:目標は国内シェアナンバー1を獲得すること──NEC 小島立氏 (1/2)

iモードが誕生したころ、NECは大画面液晶を武器にトップシェアに君臨したが、現在は雌伏を余儀なくされている。今後同社はどのように“トップ奪還”を図るのか。NECモバイルターミナル事業部 事業部長の小島立氏に聞いた。

[神尾寿,ITmedia]

 1999年のiモード登場をきっかけにブレイクし、「折りたたみのN」としてトップシェアに君臨したNEC。同社製モデルは一時期、まさに“携帯電話のスタンダード”であり、多くのユーザーとファンを獲得した。

 しかし、2005年のシャープの躍進にNECはトップシェアの座を譲り渡し、番号ポータビリティーが開始された今も雌伏を余儀なくされている。かつての王者、NECは競争が激しくなる携帯電話端末市場で、どのようにして“トップ奪還”を図るのか。NEC モバイルターミナル事業部 事業部長の小島立氏に話を聞いた。

Photo NEC モバイルターミナル事業部 事業部長の小島立氏

過去と向き合い、新たなステージに入ったNEC

ITmedia 2006年の冬商戦と2007年の春商戦は、番号ポータビリティ制度の開始を挟む形でメーカーにとっては大きな商戦期になりました。昨年はNECにとって、どのような年だったと評価されていますか。

小島立氏(以下敬称略) 番号ポータビリティ商戦では「N903i」が重要なプロダクトだったわけですが、我々は「N902i」「N902iS」の頃から「変わらなければならない」と考えていまして、さまざまな試みをN903iに向けて行っていた時期でもありました。その“NECの変化”の一部はお客様に届いたと思いますが、全体としてみれば(N903iは)不本意な結果でした。

 また、我々はNTTドコモ向けのビジネスが中心になるわけですが、そのドコモが番号ポータビリティで苦戦をしてしまった。(ドコモ向けの端末が中心の)NECにとって番号ポータビリティは、よい結果に結びつくものにはなりませんでした。

ITmedia NECの変化への試みといえば、「N702iD」が非常に印象的なモデルでしたね。“昔ながらのNEC”とは一線を画すものでした。

小島 N702iDは、確かに我々にとってエポックメイキングなモデルでした。N90xシリーズの悩みとして、デザインや機能が(世代交代しても)変わり映えしないという評価がありました。内部的にはきちんと進化させているのですが、お客様にはうまく伝わらないというジレンマがありました。

 その点、N702iDや「N703iD」で取り組んだスタイリッシュなデザインや、N904iなどは“ジャンプアップ”を図ったものと言えます。

ITmedia 確かにN702iDやN703iD、N904iはコンセプトが明確で、その魅力を感じ取りやすい端末でした。NECは今まさに変わりつつある。その中で、NECとして「変わるべき部分」と、NECのアイデンティティとして「変わってはいけない部分」をどのようにとらえていらっしゃいますか。

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小島 変わらなければならない部分は「デザイン」ですね。これまでも変えてきたつもりだったのですが、お客様には“変わり映えしない”“保守的だ”と言われてきた。そのような中で、我々にとって変化点になったのがN702iDです。あの時は佐藤可士和さんにご協力いただいて、デザインを製品全体の世界観から考えるという手法を学びました。NECとしてデザインアイデンティティを創る重要性を知りまして、社内にクリエイティブスタジオを設立しました。

 一方、我々として変えてはいけない部分は「使いやすさ」です。これはユーザーインタフェース(UI)を変えないという意味ではありません。携帯電話の用途が多様化する中で、デザインとリンクした操作性の“よさを変えない”ということです。

 あとは「スピード」ですね。HSDPAなど高速化技術をいち早く導入し、端末側の処理速度も速くしていきたいです。

ITmedia デザインと使いやすさの融合という点では、N903iからN904iへの移行で変化に対する「NECの本気」を感じました。N70xシリーズの流れをくんでデザインが一気によくなり、さらにUIを現在のトレンドに合わせる形で変えられました。N904iに、名実ともに大きな変化を感じます。

小島 N903iは昨年初めの段階で内容がほぼ固まってしまっていたので、我々の真剣に変わりたいという想いが形になったのが、N904iであると考えています。

ITmedia 私がN904iで評価しているのは、UIを中心にした操作性の刷新です。ここでNECの独自仕様の多くを見直されていますね。UIの連続性と変化のバランスにおいて、“変わることが変わらないことである”という視点でメスを入れたことは、NECにとって難しい判断だったと思います。

小島 そうですね。我々が、なかなか変われなかった理由として、過去に大きなシェアを獲得して、多くのNECユーザーがいたということがあります。古くからNECの携帯電話をお使いいただいている方が使いやすいように、という視点ですと、過去のモデルの操作性やデザインを踏襲しつづける形になってしまいます。我々としては、(古くからのNECユーザーに対して)よかれと思ってやってきたことが、新たなお客様にとっては壁になってしまう。またNECユーザーの中にも変化を求められる方は多くいらっしゃいます。どこかで割り切って、一新しなければなりません。N904iの開発では、(どこまで変化するかで)多くの時間を議論に費やしました。

ITmedia 2006年を通して、過去を踏襲するか、それとも変化を重視するかという、ギリギリの苦悩の影がNECの端末には垣間見られました。2007年は、それが“吹っ切れた”ということでしょうか。

小島 ええ。変化を重視する方向に進みました。過去からの連続性が若干犠牲になったとしても、それは悪い方向への変化ではありませんから。いい方向への変化ならば、最初は戸惑われることがあっても、必ずお客様は理解してくれるだろう、新しい操作性にも慣れていただける、そのように判断しました。

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