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» 2007年08月29日 00時42分 UPDATE

10代の安全は、こうして守る──“モバゲー流”ケータイサイト悪用の防ぎ方

勝手サイトの成功事例として注目を集めるDeNAの「モバゲータウン」。10代ユーザーが約半数を占める中、悪用を防ぐためにどんな対策を講じているのか。同社の南場社長が説明した。

[後藤祥子,ITmedia]
Photo DeNAの南場智子社長。「モバゲータウンはSNSとゲームだけのサイトではない。eコマースやニュース、天気予報などの便利な情報を入れ、、PCにおけるYahoo!のような“携帯の総合ポータル”を目指して展開している」

 2006年のサービス開始から約1年半弱で、644万ユーザーを擁するコミュニティサイトへと成長したのがDeNAの「モバゲータウン」。月間ページビューは120億超に達し、モバイル分野ではSNS大手のmixiモバイルやポータルサイトのYahoo!モバイルを超えるページビューを稼ぎ出している。

 このサイトの大きな特徴といえるのが、10代ユーザーが約半数を占める会員構成。2007年6月時点で10代の会員が48%を占め、日本の全人口の中でモバゲーを使っているユーザーが何割を占めるかで計算すると、16歳の男性では52.4%がモバゲータウンに登録していることになるという。無料サイトのため退会する人が少ないという事情はあるものの、この数字はなかなか達成できるものではない。

 しかし、モバゲータウンには、10代ユーザーが多いコミュニティサイトならではの大きな課題もある。それはネットを使ったいじめや悪質な勧誘、出会い系サイト的な利用など、若年層の携帯利用に伴う社会問題が取り沙汰される中、こうした要素をいかに排除できるかだ。影響力のあるサイトだけに、この対策を怠るとサイトの存亡にかかわる問題に発展しかねない。

 「ここまで若年層が使ってくれると思っていなかったので、うれしいサプライズであった半面、思ってもみなかった大きな社会的責任を担うことになった」──。こう話す南場智子社長が率いるDeNAは、どんな方法でモバゲータウンを“10代が安心して遊べる場”として提供しているのだろうか。

 毎日新聞社とDeNAが主催した「10代の『ケータイ事情』──子供と携帯電話の明るい未来を目指して」と題したイベントで、南場社長がその手法について説明した。

 「社会問題として報道されていることはネガティブなことが多く、それは真摯に考えて対処したいと考えているが、大半は友達を作って楽しんだり救われたりする環境としてモバゲータウンを利用している。事業者はこういう利用を大事にしながら、その場を荒らすような間違った方向に進む利用を抑制し、なくしていくことに全力を注がなければならない」(南場氏)

sa_dena02.jpgPhoto mixiモバイル、Yahoo!モバイルとのページビュー比較(左)と、会員の世代構成(右)

sa_dena04.jpgsa_dena05.jpgPhoto モバゲータウンは無料ゲームや日記(1日の平均日記投稿数は約48万回/日)、サークル(層サークル数約55万、1日平均掲示板投稿数約251万)、質問広場(公開中の質問数約73万)、クリエイターコーナー(投稿された小説・詩は約26万作品、公開中の楽曲約9000作品)などで構成されるコミュニティサイト。サイト内のバーチャルなコミュニケーションながら「本音で話せる」のが魅力の1つだという。カジュアルな話題だけでなく、いじめの相談や社会派ネタの問題提起などもあるなど、励ましたり学んだり癒されたりする場としても機能していると南場氏は話す

リアルな出会いは一切禁止、違反者は“即時退会”も

 モバゲータウンは、入会にあたって厳しいルールを設けいている。違法行為や誹謗中傷の書き込み、公序良俗に反する行為や営利目的の勧誘行為などに加え、サイト内で出会いを求める行為も禁止。こうしたルールに基づいて24時間365日体制で監視を行っている。「独自の手法で違反の書き込みが自動的にスクリーニングされる仕組みを作っており、この仕組みの裏をかかれないよう、常に見直して変えている」(南場氏)。静止画や動画の投稿については、すべて目視で確認しているという。

 違反行為をしたユーザーに対しては、悪質な場合には1回で強制退会処分とし、ユーザー登録が取り消される。悪質でないものについては、まず“なぜいけないのか、何が悪いのか”を説明した上でフラグを1本立て、2回目で強く警告、3回繰り返すと強制退会処分となる。

 モバゲータウンは携帯専用サイトとして運営しており、アクセス時には端末IDによる認証を行っている。PCなら強制退会させられても他のアドレスを取得するなどして比較的容易に再入会できるが、携帯では携帯電話を変えて新しいIDを取得しないと再入会できず、退会がユーザーにとって痛手となる。これが悪用の抑止効果につながっている面もあると南場氏は見ている。

 サイト全体の雰囲気を把握しておくことも重要で、モバゲータウンでは、「統計上、これだけ見ればだいたい全体の雰囲気が分かるだけの書き込みをサンプリングして、内容を確認している」(南場氏)という。これにより、想像しなかったような悪質な行為が見つかることもあり、それを新たなルールにフィードバックしている。

ユーザーとの協力で、悪質な利用を防止

 ユーザーとの協力で、悪質行為の通報やルール順守の啓蒙を行っている点も、モバゲータウンの特徴の1つだ。

 サイト内メールの受信画面や掲示板などには「通報ボタン」が設けられ、ユーザーが不審なメッセージを受けたり、不快なコメントを見つけた時にはボタン1つで通報できる仕組みを用意。通報に対してモバゲータウンの運営事務局は、およそ12時間以内に削除や警告などの対応を行っている。「このボタンを活用して、ユーザーが積極的にコミュニティの浄化活動に参加している」(南場氏)。

 また、会員の中には20代や30代、40代のヘビーユーザーもいて、こうしたユーザー層が通報ボタンやご意見ボックスを活用して、積極的にパトロール活動を行っているという。

 ほかにも、正しい利用を啓蒙する「モバゲータウンの歩き方」を常時サイト内に表示したり、学生を対象とした正しい携帯電話サイト利用に関する講習会などを開催するなどの施策を実施。また、この夏には南場氏を委員長とする「健全コミュニティ委員会」を設置し、1カ月ごとのデータをベースに「モバゲータウンでどんなことが起こっているのか、起こっている問題はどれくらいの件数なのか、警察との連携は何回あったのか」といった案件についてのレビューを行っているとした。

 南場社長は、「これだけやっていても完璧とは言えない」と話す。人数をどれだけ増やしても、24時間365日体制にしても、思っていないような行為が出てきたり、警戒すべき事象が新たに見つかるという。「いたちごっこの繰り返しだが、根気よくあきらめずに健全性を維持する活動を繰り返していく。逃げずにいたちごっこに参加し続けるのが使命だと思っている」(南場氏)

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