インタビュー
» 2008年11月15日 02時40分 UPDATE

16G、32Gバイトからテラバイトへ――サンディスクが明かす、メモリカードの可能性と課題

サンディスクが11月下旬から販売開始する16GバイトのmicroSDHCは、携帯電話向けのメモリカードとしては世界最大容量を誇る。日本の携帯市場でのメモリカードの普及率や、さらなる大容量化の可能性について、サンディスク モバイルリテール部門 副社長兼ゼネラルマネージャーのマイケル・ロメロ氏に話を聞いた。

[田中聡,ITmedia]
photo サンディスク モバイルリテール部門 副社長兼ゼネラルマネージャーのマイケル・ロメロ氏

 サンディスクは11月下旬に、携帯電話向けのメモリカードとして世界最大容量となる16GバイトのmicroSDHCを発売する。まずはNTTドコモの「P-01A」が対応し、今後も対応機種は拡大していく。

 1G〜2GバイトのmicroSDから、4G〜8Gバイト、そして16GバイトのmicroSDHCへ――。ここ2年ほどで、携帯電話向けメモリカードは一気に大容量化を果たした。こうした大容量化が主流になりつつあるメモリカード市場を、メモリカードの製造権と販売権を持つサンディスクはどのようにとらえているのか。サンディスク モバイルリテール部門 副社長兼ゼネラルマネージャーのマイケル・ロメロ氏に話を聞いた。

技術的には32GバイトのmicroSDHCも開発できる

 サンディスクの16GバイトmicroSDHCは、日本国内では11月下旬から発売するが、北米と欧州では2008年10月に発売し、16GバイトのmicroSDHCに対応する携帯電話も増えつつある。microSDHCはmicroSDの上位規格で、ファイル管理システム「FAT32」に対応しており、技術的には最大32Gバイトまでのデータが管理できる。ちなみに、2Gバイト以下のmicroSDは「FAT16」を採用している。

 「microSDHCは公式の発表は16Gバイトのみで、まだ32Gバイトの発表はしていない」(ロメロ氏)とのことだが、近い将来、32Gバイトの製品もリリースされることが期待される。

 microSDHCとPCでデータをやり取りする際に気になるのが“速度”だ。「ファイルを数個転送するだけなら速度の差はあまり体感できませんが、例えば500曲を一気に送るのなら、速度の差は出るでしょう」とロメロ氏。その際、ケータイに直接USB接続しても最大速度ではデータを転送できず、高速で転送するには、PCのUSB端子にリーダー/ライターを挿入する必要がある。これは、「カード本来の速度が出せる仕様に携帯電話が追いついていないため」(ロメロ氏)だという。

 「今は転送するファイルサイズもそれほど大きくなく、映像サービスもテレビほどの画質は要求されていません。ケータイが音楽のため、テレビのためのといった(より本格的な)デバイスになったときに初めて、転送速度が重要になってくるでしょう」(ロメロ氏)

 11月下旬に発売する16GバイトのmicroSDHCの転送速度は、2Mバイト/秒以上の「Class 2」に対応するが、6Mバイト/秒以上というさらに高速の「Class 6」に対応した「Mobile Ultra microSDHCカード」の発売も予定している。Mobile Ultra microSDHCはすでに2Gバイト、4Gバイト、8Gバイトの製品が発売中。カードには小型のリーダー/ライターが付属しており、PCのUSB端子に挿入すれば、高速にデータを転送できる。

 サンディスクによると、「リーダー/ライターの反響も大きい」とのことで、現状はMobile Ultra microSDHCのセット販売のみだが、今後は単品での販売も予定しているという。

photophoto 16GバイトのmicroSDHCと、「Mobile Ultra microSDHCカード」に付属するリーダーライター

日本では携帯のメモリカード使用率は24%

 急速に普及しているmicroSD/microSDHCだが、全世界のメモリカードスロット搭載の携帯電話のうち、メモリカードの着装率は世界では19%、日本では24%に過ぎない。

 ただしサンディスクの調査によると、過去6カ月以内で携帯電話を買い換えたユーザーに限れば、66%がメモリカードを使用しているという。ロメロ氏は「一般の消費者にどれだけ使いやすさをアピールしていくかが課題」としている。

 携帯市場では先進国といえる日本だが、販売されているメモリカードの平均容量は少なく、売れているのは1Gバイトと2GバイトのmicroSDだという。「日本では提供されているアプリケーションが多いにもかかわらず、大容量のモデルが売れていません。いろいろなコミュニケーションを通して、この流れを変えていきたいですね。とりわけ、日本ではワンセグに期待しています。ワンセグの録画データの容量はかなり大きいので、録画した番組を保存するうえで、16GバイトのmicroSDHCは重宝するでしょう」とロメロ氏は自信を見せる。

 携帯電話向けの大容量メモリカードの普及率は、現状は日本よりも海外のほうが高いが、今後は日本でも大容量モデルがさらに普及するとロメロ氏は予測する。

 「世界の携帯市場を見ると、ノキアや韓Samsung、エリクソン製の端末など、新機種はほぼすべて16GバイトのmicroSDHCに対応しています。半年後には、(日本でも)16GバイトのmicroSDHCの対応機種はもっと増えているでしょうし、カードを購入する容量の平均値も上がっているでしょう。たくさんのアプリケーションでさまざまなことができると分かれば、もっとカードを使ってくれるはず。メモリカードで何ができるかを知ってもらうことが鍵になるでしょう」(ロメロ氏)

 北米で発売中の「スロットミュージック」という商品には、1GバイトのmicroSDに音楽コンテンツが収録されており、microSDごとアルバムを購入できる。日本でもこうしたコンテンツとのセット販売が広がり、カードがより安価になれば、microSDやmicroSDHCがさらに普及しそうだ。

photo microSDに音楽コンテンツを収録したスロットミュージック。音楽ファイルのビットレートは320kbpsで、オープンMP3に対応する

 なお、11月12日のリリース発表時点では、microSDHC16Gバイトの対応機種は、ドコモの「P-01A」のみとなっているが、サンディスクによると、「P-01Aは対応機種の第1号機ということで、今後発売する『P-02A』や『P-03A』も対応している。近日中に、サンディスクのWebサイトで対応状況を公開する」とのこと。

テラバイト級のmicroSDHCが登場する可能性

 microSDHCは、仕様上の上限が32Gバイトとなっているが、さらなる大容量化は可能なのだろうか。

 「32Gバイトを超えるカードを開発する場合、さらに別のフォーマットを採用する必要があります。ただ、こうしたフォーマットの変換は、Windowsが3.1からXPに変更された10年前のPCでも起きています。サンディスクは、SDアソシエーションという団体と協力しながら、SDHCの3.0のバージョンとして、32Gバイト以上、つまりT(テラ)バイトに対応しうるスペックを検討しています」(ロメロ氏)

 ロメロ氏は、具体的な時期や容量は明言しなかったが、「5年前、1TバイトのHDDを搭載したPCを作ろうと言ったら笑われたが、今では当たり前。それぐらい技術は進化しているので、ロードマップを見たら先が楽しみだ」と期待を持たせた。

 携帯電話向けのメモリカードは、SD→miniSD→microSDと小型化の一途をたどってきたが、microSDはさらに小型化していくのだろうか。ロメロ氏によると、「今の段階では予定していませんが、マーケットの要請があり、必要であれば、弊社の技術を使って対応するかもしれません」とのこと。

 “小型化”と“大容量化”で、携帯電話向けのメモリカードとして一躍トップシェアに上りつめたmicroSDとmicroSDHC。今後はさらなる“低価格化”や、サンディスクが海外で展開しているスロットミュージックなどの“コンテンツ連携”など、メモリカードを積極的に使ってもらうための導線が重要になるだろう。

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