2015 International CESの開幕を前にした1月4日(米国時間)、米NVIDIAは米ネバダ州ラスベガスで報道関係者向けの説明会を開催し、新モバイルプロセッサ「Tegra X1」(開発コード名:Erista)を発表した。
同社が現行GPUで採用する「Maxwell」アーキテクチャに対応し、モバイルプロセッサとしては初のTFLOPS(テラフロップス)級性能を実現する。製造プロセスルールは20ナノメートルだ。現時点でプロセッサの出荷時期や搭載製品の発売時期は公開されていない。
記者発表会で登壇した米NVIDIAのジェンスン・ファンCEOは、昨年2014年のCESで発表された「Tegra K1」に言及。それまでGeForceとモバイル向けで分裂していたGPUアーキテクチャが統合され、さらに同社としては初の64ビット対応プロセッサコア搭載モデルも用意するなど、モバイルプロセッサとして大きな飛躍を実現した製品だったことをアピールした。
一方で、同社の現行GPUアーキテクチャはTegra K1の採用するKeplerから次の世代にあたるMaxwellへと移行しており、このアーキテクチャを採用した最新プロセッサとして今年はTegra X1が発表されることとなった。
Tegra X1は、256基のCUDAコアからなるMaxwell GPU、8コア(ARM Cortex A57×4+A53×4)の64ビットCPUを搭載し、4K動画(H.265/H.264/VP9)の60フレーム再生に対応する。同氏は比較対象として前世代のTegra K1とAppleが「iPad Air 2」で採用している「A8X」の2つを挙げ、そのいずれと比べても大きく性能が向上しており、さらに電力効率でもTegra K1と比べて2倍近い性能を実現していることを紹介した。
壇上では「Unreal Engine 4 Elemental」のライブデモが実演され、溶岩や煙、崩壊する物体の細かいパーティクルまでを含め、デモを実行するのに十分なパフォーマンスをTegra X1が持つことをアピールした。
同氏によれば、これと同じデモを実行するにあたり、2年半前のデスクトップ向けGPUでは300ワットの消費電力を必要としていたものが、最新のゲームコンソールである「Xbox One」では100ワットとなり、Tegra X1はさらに10ワット程度で実行可能と、大幅な消費電力削減も実現しているという。
またモバイルプロセッサとしては初のTFLOPS級性能を実現していると同氏は説明する。これは1996年にサンディア国立研究所の「ASCI Red」が達成したものだ。ASCI Redは当時としては最速のスーパーコンピュータであり、数年間に渡って最高速コンピュータとして不動の地位を確立していたことで知られている。
ASCI RedはIntel CPUをベースに構築されたスーパーコンピュータであり、その性能が現在ではわずか指先サイズへと収まってしまうわけだ。消費電力に対する実行性能においてGPUのメリットを示す例の1つと言える。
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