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» 2016年06月19日 06時00分 UPDATE

「偏見でもいい!」“娘の一人暮らし”について父の思うこと (1/2)

[中山順司,ITmedia]
育児の答え合わせ

 成人した娘とその父が、(娘が)思春期だったころを回想しつつ本音で語り合う連載「育児の答え合わせ」。脳内で考えてはいたけどいえなかったあんなこと、つい口を滑らせて誤解された余計なひとこと、恥ずかしくていえなかった言葉を、少し照れながらも赤裸々に語り尽くします。

 前回、「7〜8年ぶりにまともに会話を交わした」という鈴木さん親子でしたが、とくに重い空気になることもなく、中山の目にはごくふつうの親子の会話が繰り広げられました。

 しかし、ここまではいわば序の口。ボクシングでいえば軽くジャブを打ち合った程度。本番はここからです。2人の会話を決定的に途絶えさせた、“あるでき事”について答え合わせをします。

父(60歳)

宇都宮在住で都内に勤務する実直な公務員。勤続42年で3週間後に定年退職を迎える。娘とは高校生のころからほぼ会話がない。

娘(25歳)

都内のIT系企業で働く社会人3年目のビジネスウーマン。高校3年時のある事件をキッカケに、父と会話が途絶えて今に至る。


一人暮らしを相談したら、頭ごなしに一喝された


――学生時代、お父さんから一番きつく怒られたのはどんなときでした?


娘

 大学入学前に「一人暮らししたい」って頼んだときにすっごく怒られた。


父

 いやいや、怒ってはいないぞ。


娘

 怒ってたよ。キツい口調でガーッとまくしたてられたよ。


父

 そうだったっけ……。「(一人暮らしを許したら)お母さんに、今よりもっと働かせてしまうことになるんだぞ」とは言ったかな。もともと共働きだったけど、もし下宿させるとなったら経済的にはかなり苦しかっただろう。生活を切り詰めるために、2台ある車の片方を手放さなくちゃいけなかっただろうな。


娘

 友達や先生に相談したら、「(実家のある)宇都宮から東京まで、往復4時間かけての通学はつらいよー」といわれた。実家から通学時間を気にしながら通ってたら、大学生活を楽しめないんじゃないかって思ってた。


父

 (無言)


娘

 でも、パパに怒られてから考え直したよ。


父

 10年以上も乗っている車さえ売らないといけないような状況だったから……。


娘

 結局、一人暮らしは許してもらえなくて、車も売らずに済んだよね。


父

 当時は生活が楽ではなかったの。でも、父さんの言葉で考え直してくれたんだな。


娘

 うん。一人暮らしするってことは、お金もかかるし、親もさみしがるだろうなって。ただ、私なりにいろいろ考えた結果、意を決して相談したのに、「何を考えているんだっ!」て頭ごなしに否定されたのはショックだったよ。


父

 ……。で、そこですぐに一人暮らしは諦めたんだっけ。


娘

 だって、パパにあんなにキツく叱られたことなかったから……ただ「つらい、悲しい……」って気持ちで諦めたよ(笑)。

経済的理由以外にも、反対した理由はあった


――お父さんに質問ですが、もし娘さんが「家賃も生活費も自分で稼ぐ。家計に負担はないんだから問題ないよね」って宣言されていたら、一人暮らしを許しましたか? つまり、経済的理由がなければOKでしたか?


父

 ……反対していたでしょうね。


娘

 ということは、お金以外にも理由があった?


父

 だって、女の子でしょう。


娘

 それは偏見じゃないのかな。


父

 偏見でもいいの! 女子寮ならまだしも、都内に娘を一人暮らしさせることには不安があったんだ。


娘

 それは、私が悪い道にハマる心配……というか、まず環境が良くないだろうってこと?


父

 そう。偏見だとは分かっているけど、東京は環境も風紀も悪い。治安も良くない。あと、変な男が寄ってくるんじゃないかとかね。


娘

 言わんとしていることは、分からないでもないけど……。


父

 父さんはガラのよろしくない地域の消防署に勤務しているから、東京を余計にそういう目で見てしまうってのはあるけどね。

「偏見でもいい、とにかく心配だった」とお父さん
いまいち納得いかない(?)ような表情の娘さん

「親と行動を共にしている=ダサい」と思っていた中学生時代

――一人暮らししたいって言ったときの衝突以外で、反抗期とかってありました?

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