育児の答え合わせ 〜どうして我が家はこうなった?〜

» 2016年06月05日 06時00分 公開
[中山順司ITmedia]
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育児の答え合わせ

家族のこと、本当に理解してますか?

 娘を持つITmedia読者のお父さんの皆さま、同じ屋根の下で暮らしている娘さんのこと、本当に分かっていますか? 「大きくなったらお父さんとケッコンする!」と無邪気に言ってくれた幼少期ならいざしらず、思春期の女子中高生の脳内は「計り知れない闇」ではないでしょうか。

 成人された女性読者の皆さま、ご自身が思春期まっただ中だった頃、娘から距離を置かれた父親が何を感じ、どんな苦しみを味わっていたかご存じですか? 多分、「考えたことすらないわ」ではないでしょうか。

 この連載では、成人した娘とその父が「娘が思春期だったころを回想しながら、育児の答え合わせ」をします。脳内で考えてはいたけどいえなかったあんなこと、つい口を滑らせて誤解された余計なひとこと、恥ずかしくていえなかった言葉を、互いが赤裸々に語る企画です。

 ご登場いただくのは定年退職間際のお父さん(60歳)と都内で働く娘さん(25歳)。二人の間には、モデレーターとして「キモいお父さん」こと私・中山が入り、語られることのなかった本音にディープに切り込みます。ITmedia読者の皆さまには、あの「iPhoneを使いこなせない妻」の夫だと言った方が分かりやすいかもしれません。

彼女はiPhoneを使いこなせない

父にかわいがられずに育った女子がいる?

 その前に、そもそもどうしてこんな企画をすることになったかの説明をしましょう。

 忘れもしない2013年11月に書いた「娘と父のマジトーク:『お父さんがキモい理由を説明するね』」がバズったのを機に、私の人生は大きく変わりました。怒涛(どとう)のソーシャルシェアからの書籍化オファー。でもって、多数の方々からフィードバックをもらいました。

 1つ予想外だったのは、かなりの割合の成人女性から、「父にかわいがって(&遊んで)もらった記憶がない」「思春期のころから成人になった今も、父とほとんど喋っていない」と告白されたこと。

 「え、世の中のお父さんって、娘と交流しまくるんじゃないの? 違うの?」と驚き、「照れから来るツンデレの一種でしょ」と返したのですが、「いや、それはない」と言い切られてしまう始末。世のお父さんは漏れなく娘を溺愛(できあい)し、愛情をほとばしらせているものだと思っていた自分には意外でした。

 「自分のようなお父さんがウジャウジャ存在すると思い込んでいたのにそうでないとは、自分は本当に気持ち悪い人間なのだな」とショックも受けたのでした。

父と娘の関係は千差万別

 娘側の一方的な意見だけで判断するのはマズいので、多くのお父さんにも”娘さんとの関係性”を伺いました。中山並みにキモい方には出会えませんでしたが、父側には「娘がかわいくて仕方ない」「でも、どう接すればいいか分からない」という方々が過半数を占めました。

 まれにむちゃくちゃ仲良しで隠し事ゼロな珍しい父娘もいましたが、極めてレアケースです。少なくともはっきりしたのは、「世の中の父娘の関係は千差万別」ということ。でも共通しているのは、「互いが分かりあえないまま、娘が成人してしまっている」こと。(肌感ですが)95%の親子が「うちの父(娘)は、よく分からない……」というリアクションを見せたのです。

 ただ、父親の立場から言わせてもらえば、(愛情表現の仕方が違うだけで)娘は無条件にかわいい存在で、幸せな人生を送ってほしいと願い、そのためにできることはなんでもするのが父親の常……だと思うのです。

“育児の答え合わせ”をしてみたい

 親は信念と愛情をもって育てているのに、それが娘に伝わらないもどかしさを味わい、娘は父の信念や愛情を誤解して受け取り、うっとうしく思う。父は「自分の育児は間違っていなかっただろうか」と思い悩み、娘は「父さんって何をどう思いながらあたしを育てたんだろう」と首を傾げる。

 そして、そのまま成人し、社会人となり、やがて家を巣立つ。それまでの育児を当人同士で振り返ることもなく、いつの間にか記憶にフタをする。なんとなく気にはなるけど、恥ずかしさと照れくささが勝るし、改まって二人で話し合うのも気が重い。これがほとんどの家庭の現実ではないでしょうか。

 だからこそ、(自分ではない別の親子の)「育児の答え合わせ」を実現してみたいと強く思いました。親子双方に思う存分に育児を振り返ってもらい、互いに驚いたり、理解を深め合う姿を目の当たりにしたい。そしてWeb連載にして多くの人々に読んでもらいたい。

協力してくれる奇特な親子なんているのか? ……あっさり見つかった!!

 ただ、「究極的にパーソナル&デリケートな話を聞かせてくれる親子なんているのか?」という問題があります。「候補者探しは難航するに違いない。企画倒れになるかもしれん」と恐れながら数名の知人女性に声をかけたら、あっさり「いいですよ」と即答をいただきました。

 「父の本音なんて聞かされたことないし、それを知れる機会は願ったりかなったり!」とのこと。お父さんにも企画趣旨を説明し、(最初は乗り気ではなかったものの)最終的にご賛同くださいました。しかも「親子の写真掲載もOK」とおっしゃっていただけました。

 それが冒頭でも紹介した定年退職間際のお父さん(60歳)と、都内のIT系企業で働く娘さん(25歳)の鈴木さん親子。

今回の企画に協力していただいた鈴木さん親子
たっぷり3時間近くも話し合っていただきました

 娘さんの証言によると、「高校生のころから父とは会話がなく、成人した今も話さない。べつにけんかしているとか嫌っているとかではなく、ただ単に話題もないし、その気にもならない」とのこと。ちなみにお父様は勤続42年の公務員で、3週間後に定年退職を迎える寡黙なお方。

 さて、一体どんな会話が交わされたのか、二人の答え合わせはできたのか? 鈴木さん親子にしかできない、でも(逆説的に)どこの家庭にでもあるかもしれない問題を、じっくりと連載でひもといてゆきます。ご期待ください!

育児の答え合わせ

中山順司(なかやま じゅんじ)

ロードバイクをこよなく愛するアラフォーブロガー。freee株式会社勤務&起業ハッカー編集長。ブログ「サイクルガジェット」運営。“徹底的&圧倒的なユーザー目線で情熱的に情報発信する”ことがモットー。ちょっぴり健康が気になって、自転車でも始めようかなとお考えの方が、「こんなコンテンツが読みたかった!」とヒザを打って喜ぶ記事をつくります。


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