もう1つ、2017年と大きく環境が変わったといえるのは、ソフトバンクでいわゆる分離プランが導入されたことだ。本連載でも取り上げいるが、同社がiPhone発売直前に導入した「ウルトラギガモンスター+」や「ミニモンスター」は、これまでとは異なり、端末購入補助にあたる月月割が付かない方式が主流になっている。
その分、特にウルトラギガモンスター+では料金自体が以前よりは安くなっているため、初期費用とランニングコストを含めたトータルでの費用を見ると高騰したというわけではないが、料金の下げ幅は例年iPhoneに付いていた月月割よりは低めだ。端末購入補助ではないため、長く使えばより安くなる仕組みだが、従来のように端末購入補助を含めた“実質価格”を打ち出すことができない。
2017年に分離プランにかじを切ったKDDIと同様、ソフトバンクも4年に割賦の期間を延ばし、2年目以降に下取りを条件に残債を免除する「半額サポート」を導入しているが、公正取引委員会の指摘もあり、価格の見せ方は苦労しているようだ。確かに支払う金額だけを見ると半額になるため負担感は軽減されるが、下取りで使用中の端末は手放さなければならない上に、残債を払い終わった後キャリアを変えることを検討したいユーザーにとっては、4年という期間は長い。この仕組みが、「4年縛り」などと呼ばれるゆえんだ。
auピタットプラン、auフラットプランが開始から1年強で1000万契約を突破したことを考えると、分離プランによって契約者数が減少したなどの影響はなさそうだが、端末の販売ランキングを見ると、Huaweiの「P20 lite」やシャープの「AQUOS sense」のようなミドルレンジモデルの割合も増えてきている。これは、アップグレードプログラムEXではなく、一括で端末の支払いを済ませたいユーザーが、端末の本体価格が安い端末に飛びついた結果といえる。
ソフトバンクの販売動向も、これに近くなっていく可能性は高い。残るドコモは、docomo withで部分的に分離プランを導入しているが、iPhone XS、XS Maxなどのハイエンド端末には依然として端末購入補助にあたる月々サポートが付く。ただ、auに続いてソフトバンクが分離プランを導入したことで、全体では、コストパフォーマンスにシビアになっているユーザーは増えている。
また、分離プランを導入していないドコモも、2018年のiPhoneは全モデルで月々サポートの額を変えておらず、本体価格の差が直接実質価格に反映されている。例えば、同じ64GB版を比べたとき、iPhone XS MaxはiPhone XRより約3万円高い。吉澤氏は「価格が抑えられていてカラーバリエーションも豊富なため、予約が(iPhone XS、XS Max)より多くなることは考えられる」と語っていたが、日本市場ではグローバル以上にiPhone XRの比率が高くなる可能性もありそうだ。
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