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産経新Web面にTwitterやひろゆき氏、「エンドレスエイト」も 「ネットは政治や経済と同列」

» 2009年07月30日 14時01分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 産経新聞社は、産経新聞朝刊紙面に7月30日から、「Web面」を設置した。「ネットをめぐるニュースは、政治や経済、社会面で扱っているニュースと同列」と位置づけ、ネット上のできごとを、丸ごと1面使って伝える。週1回、木曜日の朝刊(一部エリアは金曜日)に掲載する。

 既存の購読者にネットの世界を知ってもらい、ネットユーザーには紙の新聞を手に取ってもらう狙い。ネット関連企業からの広告出稿も目指す。

画像 Web面。政治面右肩に「政治」、経済面に「経済」とあるのと同様、右肩に「Web」とある

 紙面レイアウトは、政治や経済、社会面など既存の面とほぼ同じ。ネット上のニュースを掲載するほか、人気の動画・ブログの紹介、ネットまわりの個性的な人物「ネット人」のインタビュー、ネット関連イベントの告知などを載せる。ネットのヘビーユーザー向けのディープな内容も、「ミニ・ニュース」として取り上げる。

 「先鋭的な内容を扱い、Web面で扱った事象が、1年後、2年後に世の中の趨勢になっている、というイメージ」で紙面を作るという。専門の組織は置かず、編集局各部の記者が取材・執筆する。

 30日の紙面には、西村博之(ひろゆき)氏のインタビューやTwitterの解説記事、「tsudaる」(Twitterでシンポジウムなどを実況中継すること)の意味解説、「ニコニコ動画」で人気の動画「15秒でわかる日本のむかしばなし」の紹介、「ニコ割アンケート」で聞いた、信頼性のある媒体についての調査記事などを大きく掲載した。


画像 テレビ欄のど真ん中に「ニコ生」番組表が

 ミニ・ニュースでは、ブログの炎上騒ぎなどディープな話題も取り上げた。女子大生とその交際相手が、駐車違反を通報されたことを逆恨み、通報した人物の乗用車に醤油をかけたと書き込んで「2ちゃんねる」などで炎上した件や、放映中のアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」の「エンドレスエイト」(夏休みがループするというストーリーをほぼ同じ内容で6話連続放送)をめぐる騒動、「pixiv」で「サイボーグ009」の2次創作が可能になったことなどを掲載している。

 ネット企業の協力も取り付けた。ドワンゴ、ミクシィ、マイクロソフト、サイバーエージェントの4社の社長がそれぞれ、Web面スタートを祝うメッセージを、広告として30日の紙面に掲載。テレビ欄にはニコニコ動画の広告と、「ニコニコ生放送」(ニコ生)の12時間生放送の番組表も載せたほか、同日朝に開かれた紙面発表会見の模様はニコ生で配信した。

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 掲載した記事は基本的にはすべて、「MSN産経ニュース」など同社のWeb媒体にも掲載。ひろゆき氏のインタビューは、紙面にはダイジェスト版を、Webにはロングバージョンと動画を載せる。

画像 紙面に掲載した広告に、“ネット音痴”役として登場している斎藤常務。紙面を指して「生き恥をさらしている男であります」と話し、会場の笑いを誘った

 「団塊世代のわたしはネット音痴。ネットの世界は遠く、難しいものという意識が強いが、同じように感じている方がWeb面をナビゲーターにし、新しい楽しみを身につけてもらえれば」と、同社の斎藤勉常務はWeb面の狙いを語る。

 ディープなニュースも掘り下げて掲載することで、ネットのヘビーユーザーも取り込みたい考え。紙面の記事はほぼすべてWeb版で読めるため、ネットユーザーに紙面を手に取ってもらうのは「難しいと思う」(同社の別府育郎 編集局編集長)としつつも、「情報が集積されたページがある、という、紙の良さを分かっていただけるきかっけにはなるのでは」(別府編集局長)と期待している。

 Web面スタートに合わせ、マイクロソフトやミクシィなど「新聞広告では取り込めなかった広告主」(同社の松本肇 営業局長)から広告出稿を得た。「ネット企業が新聞に広告を出すことは珍しく、今後の出稿見通しもあまりないが、ヤフーやグーグル、携帯キャリアなどに営業していきたい」(松本営業局長)

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