米司法省の反トラスト局は、米Microsoftと米Yahoo!の検索提携を承認したことを明らかにした。この提携は米Googleとの競争を促進するというのが承認の理由だ。Googleはこの10年間で検索市場において圧倒的なシェアを獲得した。
Googleは米国の検索市場で65%のシェアを確保しており、欧州でのシェアは90%と伝えられている。司法省と欧州委員会が2月18日に提携を承認したのも、このようなGoogleの市場支配が背景にあるからだ。
MicrosoftとYahoo!は昨年7月29日に、Microsoftの検索エンジン「Bing」をYahoo!の検索サービスのバックエンドとして採用するという10年契約を結んだ。なお、Yahoo!はBingの検索結果を利用しながらも、コンシューマー向けの検索環境のルック&フィールは維持する。
Yahoo!はMicrosoftの検索広告プラットフォームも利用し、契約期間の最初の5年間は、自社のサイト上で発生したトラフィック獲得コスト(検索広告パートナーから支払われる費用)の88%を受け取る。
司法省では提携承認の判断に際して、Microsoft、Yahoo!およびその他の市場参加企業から、この提携に関する広範な情報を収集したとした上で、次のように述べている。
米国の検索市場参加企業は、この提携に対して支持を表明しており、両社の技術を結合すれば、検索市場を現在支配しているGoogleに対抗する有力な競合勢力となるため、競争が促進される可能性が高いと各社は考えている。大多数のユーザーは、MicrosoftとYahoo!にとってGoogleが非常に大きな競争制約要因になっていると考えている。MicrosoftとYahoo!の両社は、相互の競争ではなくGoogleとの競争にフォーカスしている。
皮肉なことに、司法省は2008年にGoogleとYahoo!の検索広告提携を調査したときも、市場から収集した情報を利用した。この提携は、GoogleのAdSense広告をYahoo!の検索エンジンに提供するというものだったが、結局失敗に終わった。Googleがこの提携を提案したのは、Microsoftが2008年2月にYahoo!を446億ドルで買収すると提案したのに対抗するのが狙いだった。
Microsoftのスティーブ・バルマーCEOが「Microhoo」提携について何度か述べてきた主張と同じく、司法省では、この提携はMicrosoftの検索サービスの規模を拡大するため、Googleに対する同社の競争力を高めるとしている。
「Microsoftがより大きなクエリプールを利用できるようになる結果、同社の検索アルゴリズムと検索広告アルゴリズムの自動学習機能が強化され、Microsoftが精度の高い検索結果と検索広告リストを提供する能力が高まるだろう」と司法省は述べている。
クエリプールの拡大は、Microsoftが検索結果と検索広告リストの提示方法の変更、ユーザーインタフェースの変更、検索アルゴリズムと検索広告アルゴリズムの変更などを行うのにも役立つという。
そして「このパフォーマンス改善が実現されれば、市場での競争圧力が高まるだろう」と司法省は結論付けている。要するに、MicrosoftがGoogleを追いかけやすくなるということだ。
Bingの市場シェアは2009年6月以降、8%から11.3%に拡大したが、司法省の考えによれば、Yahoo!の検索ポータルにサービスを提供できるようになることでBingのシェアがさらに拡大する見込みだ。
司法省はMicrohoo提携を承認するという判断に満足しながらも、「今後も検索・検索広告業界に独禁法を抜かりなく適用していくつもりだ」と述べている。
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